デジタル人材の育成
植物栽培をする際の大きな障壁となりうる手間を完全に排除するソリューションとして、アクアポニックスと呼ばれる地球のエコシステムをミニマム化したような栽培手法がある。本プロジェクトではそれに対してコンピュータ制御を融合させた、次世代の小型アクアポニックスシステムを構築する。
本システムによって、ユーザは手間をかけずに手軽にオーガニックな野菜を栽培・収穫することができることに加えて、植物育成に関わるパラメータを制御・管理することによる、任意の環境・場所での栽培もできるようになる。これにより、農業には手間がかかるというイメージの払拭、そして誰でも手軽に農業を制御・ハックできるという新しい感覚を提供することが可能となり、農業に対する価値観の変化や、植物を育てることに対する常識やイメージを覆す効果が期待できる。
下段で魚を飼いながら、上段で植物を栽培し、水を循環させるという「アクアポニックス」は、身近に生態系を感じられることから急速に家庭などにも普及してきている。そこへITを導入し生産工程を自動化するという提案である。汎用性もあり、将来的には日本の農業を支える技術に発展する可能性もある。すでにプロトタイプを作成しており、実現可能性も期待できる。一方で、このようなシステムは全自動になることが必ずしも良いわけではなく、植物を育てる楽しみ、喜びをユーザに与えることも大事であるため、その観点も着目してみてほしい。提案では植物にのみ注目しているが、ぜひ魚にも注目して、それに対するITを使った自動化、支援する仕組みをうまく取り入れていってほしい。高校生であるが、実力は十分であり、若さゆえの柔らかい発想を期待する。