HOME IT人材育成 スキル標準への取り組みITSS+(プラス)・ITスキル標準(ITSS)・情報システムユーザースキル標準(UISS)関連情報
第4次産業革命に向け、クラウド、データアナリティクス、モバイル、ソーシャルといったいわゆる第3のプラットフォームや、IoT、AI活用の本格化を背景にIT投資の在り方も変化が求められています。IT投資は、ビジネスのバックエンドを中心とした伝統的な領域から、新たに、売上や利益拡大に直結するフロントエンドの領域へと本格的に拡大しています。
こうした変化に応じIT人材のスキルも強化・変革が求められます。伝統的なIT投資と新たなIT投資では特徴が大きく異なる面があります。特に伝統的なIT投資を主に担ってきた人材にとっては、新たなIT投資に対応するスキルの強化・変革へ向けた“学び直し”が重要となり、積極的な学び直しを通じ“安定性・信頼性を確保しつつ、スピードや柔軟性を追求・実現する IT投資の最適解を担う人材”となることが期待されます。
図1 IT投資の拡がりと特徴
IT人材が活躍する領域は益々拡大しています。IT人材は、既存の垣根にとらわれずにビジネスモデルやサービスのアイディアを発想し、これをITで具現化するといった価値創造から、サイバーセキュリティでの信頼性確保まで、経済・社会活動の発展に重要な役割を担う立場となっています。こうしたIT人材が社会的に適切に認められること、また、人材の活躍や育成の環境を充実するための基盤整備は重要な課題になります。
政府においては、「日本再興戦略2016 -第4次産業革命に向けて-」を受け、2016年12月に構造改革徹底推進会合の下に「第4次産業革命 人材育成推進会議」が設置され、求められるスキルや能力等の人材育成について検討が開始されました。また、「未来投資戦略2017-Society 5.0の実現に向けた改革-」においては、「何を学ぶべきか」の羅針盤の提示として、ITスキルとして主流となりつつある新たな開発手法や、新技術に対応できるIT人材に焦点を当てた新たなスキル標準を策定することが示されています。
ITSS+は、第4次産業革命に向けて求められる新たな領域の“学び直し”の指針として策定(脚注1)しています。また、従来のITスキル標準(ITSS)(脚注2)が対象としていた情報サービスの提供やユーザー企業の情報システム部門の従事者のスキル強化を図る取組みに活用されることを想定しています。
ITSS+は、「データサイエンス領域」「アジャイル領域」「IoTソリューション領域」「セキュリティ領域」について策定しています。
図2 ITSS+のイメージ
ITSS+では、レベルは人材が持つ経験・実績や成果、実際の活動の価値を踏まえて“共通レベル定義”に照らし総合的に判断されることを想定しています。
(脚注1) ITSS+は、学び直しの指針に限定するため、従来のITスキル標準に統合するものではありません。人材の評価・調達等での活用は想定せず、それぞれの領域で固有の整理を行っています。
(脚注2) ITスキル標準は、各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標です。ほかに情報システムユーザースキル標準があります。
「データサイエンス領域」は、企業等の業務において大量データを分析し、その分析結果を活用するための一連のタスクとそのために習得しておくべきスキルを取りまとめました。タスクは、IPAと「一般社団法人データサイエンティスト協会 スキル定義委員会(委員長:安宅和⼈ ヤフー株式会社 CSO)」の協業で策定しました。スキルは同協会が公開している“スキルチェックリスト” を活用します。
「2021改訂版」では、以下のとおり、タスクリストの見直しを図りました。また、一般社団法人データサイエンティスト協会が公開する“スキルチェックリスト” では、進化を続ける時代に対応した項目の見直し・追加など、現在のビジネス環境や実態にあわせて全面的に見直しを行っています。
<タスクリスト改訂のポイント>
ITSS+/「データサイエンス領域」 タスク構造図(中分類)
また、データサイエンス領域での就業を目指す学生から実務家、データ分析に携わるビジネスパーソンなどに向けて「スキルチェックリスト」と「タスクリスト」の読み解き方、活用方法を記した「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説」第二版 を取りまとめ公開しました。
データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説 イメージ(抜粋)
「アジャイル領域」は第4次産業革命を実現するために必要なアプローチでありながら、アジャイル開発そのものに関する適切な理解が十分普及していないという問題意識から、2017年度より「アジャイルWG」を設置し、アジャイル領域へのスキル変革のための指針づくりに取り組んできました。
2017年度は、アジャイル開発のベースにあるマインドセットや原則、アジャイル開発プロセスやチームの特徴、及び開発者の学ぶべきスキルについて検討を行いました。2018年度は、アジャイルの必要性を補足するとともに、ビジネスを主管する側にスポットをあて、ビジネスを成功に導くためには、事業部側がどのように振る舞い、役割を果たすべきかについて検討を行いました。その結果を下記のとおり、まとめました。
2019年度は、アジャイルソフトウェア開発にこれから取り組もうとする企業をターゲットに作成しました「アジャイルソフトウェア開発宣言の読みとき方」について、読み手の立場によって、なるべく解釈の違いが生じないような表現にすることで、より多くの方に手に取っていただけるように改訂いたしました。
「IoTソリューション領域」は、今回は主にITベンダーとして必要な技術要素や、開発プロセス等に焦点を当て、IoTソリューション開発でのロール(役割)定義や、各ロールにおけるタスクの特徴などについて説明しています。
定義したロール(役割)やタスク等は、従来のITスキル標準の名称と同じ部分もありますが定義内容は異なり、IoTソリューション特有のタスクや開発手法に対応したものです。
2018年に公開した際は、コスト削減や省力化(守りのIT)のためのスキルを定義しました。しかし、新たな顧客価値の創出(攻めのIT)のためのスキルの定義も必要となり改訂に至る事となりました。主な改訂ポイントは「ビジネス視点からのIoT技術の積極的な取り込み」です。更に「エッジコンピューティング設計と実装」も改訂ポイントです。「2021改訂版」では、IoTソリューション領域へのスキル変革の指針およびタスクリストの見直しを図りました。両方につき、変更記録(変更箇所を青字で表示など)をつけています。
「セキュリティ領域」では、企業のセキュリティ対策に必要となるセキュリティ関連業務のまとまりを 17 分野に整理し、それぞれの分野に求められるセキュリティ知識・スキルの概要をまとめることで、セキュリティ体制の構築と人材の育成・配置等の際に活用可能な共通言語として用いることができるようにしています。セキュリティを生業とする「セキュリティ人材」のみではなく、デジタル部門、事業部門、管理部門等でセキュリティ以外の業務を生業とする人材がセキュリティ知識・スキルを学び、「プラス・セキュリティ」人材として活躍できるための“学び直し”の指針として活用できます。
本領域は、経済産業省が公開する“サイバーセキュリティ経営ガイドライン”の付録『サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き』
(以下、「手引き」と言います)とあわせて検討しています。
手引きの中で、本領域の読み解き方や活用方法等について解説されていますので併せて活用いただけると幸いです。
「2022改訂版」では、手引きの改訂に合わせて、これまでITSS+「セキュリティ領域」において17分野を「セキュリティ」「デジタル」「その他」と明確に3分割していたものを、実体的には境界が曖昧であることを踏まえて廃止しました。
新たなIT投資などで既にビジネスや技術を牽引し存分に活躍している企業や個人は、主たる利用者として想定していません。こうした企業や個人には、調達の場面等でのITスキル標準やITSS+への適合性の要求にとらわれることなく、実際の事業活動で高く評価されることが期待されます。
一般的に個々のスキルやタスクがどの程度網羅し適合しているかの診断で人材レベルを評価することは、教育訓練を効率的に行うためや、人材市場を俯瞰したスキル偏在の状況等を調査する手段として有用と考えられます。他方、人材の実際の活動等の価値を見ず、スキル等の網羅性を機械的に診断するだけの場合、運用次第ではプログラミング能力など特定の部分に際立った強みを持つ人材の意欲を削いでしまうおそれがあることに留意が必要です。
IPAでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を踏まえたスキル変革の方向性について闊達な議論を行いながらITSS+の個別領域の検討を進めました。ITSS+として直ちに整備することが困難な領域もあり、また、こうした全体感も適宜議論を重ねて見直していく必要がありますが、今後に向けた更なるスキル変革の取組みをイメージするための参考として議論に用いた資料を公開します。
図3 デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたスキル変革の方向性 -全体イメージ-
日頃より、ITSS+に興味関心をお持ちいただきありがとうございます。
このたび、ITSS+に関連する成果物(報告書、ガイド等)について、皆さまのご利用状況等を把握することを目的に、簡易なアンケートを実施いたします。この結果は、今後の活動やより良い成果物を提供するための参考といたします。ご協力よろしくお願いいたします。
以下URLよりアンケートにご回答ください。(回答時間10分ほど)
ITSS+実態調査アンケート
<取得した情報の取扱いについて>
2022年10月28日 | 「価値創造社会の持続的発展のカギはアジャイルにあり」を公開しました。 |
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2022年6月15日 | 『サイバーセキュリティ体制構築・人材確保の手引き』(第2版)、ITSS+「セキュリティ領域」2022改訂版の公開 |
2022年4月25日 | 「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説」第二版を公開しました。 |
2022年4月25日 | 「アジャイルなふるまいを体感するワークショップ実践ガイド(1チーム版)」、「アジャイルのカギは経営にあり」を公開しました。 |
2022年4月25日 | 「アジャイルなふるまいを体感するワークショップ実践ガイド(複数チーム版)の 資料を一部改訂しました。 |
2022年4月25日 | ITSS+「IoTソリューション領域」2021改訂版を公開しました。 |
2021年11月19日 | ITSS+「データサイエンス領域」2021改訂版を公開しました。 |
2021年10月22日 | 調査事業、変革への道、を別ページへ移動しました。 |
2021年10月15日 | 「学びのススメvol.8」を公開しました。 |
2021年10月5日 | 「学びのススメvol.7」を公開しました。 |
2021年9月9日 | 「学びのススメvol.6」を公開しました。 |
2021年9月6日 | 「学びのススメvol.5」を公開しました。 |
2021年8月25日 | 「学びのススメvol.4」を公開しました。 |
2021年8月6日 | 「学びのススメvol.3」を公開しました。 |
2021年7月29日 | 「学びのススメvol.2」を公開しました。 |
2021年7月6日 | 「学びのススメvol.1」を公開しました。 |
2021年4月22日 | 「デジタル時代のスキル変革等に関する調査報告書」を公開しました。 |
2021年3月26日 | 「アジャイルなふるまいを体感するワークショップ実践ガイド」を公開しました。 |
2021年3月19日 | 変革ストーリー「変革への第一歩~Step and a step~」を公開しました。 |
2021年3月17日 | 「ア・ジャパン~ありえる日本の未来のかたち~vol.3」動画を公開しました。 |
2021年3月10日 | 「ア・ジャパン~ありえる日本の未来のかたち~vol.2」動画を公開しました。 |
2020年12月11日 | 「ア・ジャパン~ありえる日本の未来のかたち~vol.1」動画を公開しました。 |
2020年10月2日 | ITSS+「セキュリティ領域」改訂版を公開しました。 |
2020年9月3日 | スキル変革に関する研究会へのリンクを追加しました。 |
2020年7月7日 | 「データサイエンティストのためのスキルチェックリスト/タスクリスト概説」を公開しました。 |
2020年5月14日 | 「トランスフォーメーションに対応するためのパターン・ランゲージ」を公開しました。 |
2020年5月14日 | 「デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査」報告書を公開しました。 |
2020年2月14日 | ITSS+「アジャイル領域」資料を一部改訂しました。 |
2019年10月30日 | ITSS+「データサイエンス領域」改訂版2019を公開しました。 |
2019年5月31日 | DXに対応する人材のあり方研究会へのリンクを追加しました。 |
2019年4月12日 |
・「調査事業」を追加しました。 ・「アジャイル領域」の関連資料『なぜ、いまアジャイルが必要か?』、『ビジョンとプロダクトの橋渡し』を公開しました。 |
2019年1月31日 | ITSS+ 実態調査アンケート 掲載 |
2018年12月28日 | ITリテラシーWGへのリンクを追加しました。 |
2018年10月18日 | DX推進人材のあり方研究会へのリンクを追加しました。 |
2018年6月29日 | 本ページをリニューアルしました。 |
2018年4月9日 | 「IoTソリューション領域」「アジャイル領域」を新たに策定し、公開しました。 |
2018年2月1日 | データサイエンティスト協会 スキルチェックリストへのリンク先を変更しました。 |
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