デジタル人材の育成
組織や個人の変革を支援している実践者の方からお話を伺いました。
トラパタと併せて、ご自身の組織や個人の変革に向けた取組みのご参考になれば幸いです。
有福英幸 氏
代表取締役社長
前職では、大手広告会社にて、企業のブランディングやデジタルコミュニケーションに従事。クリエイティブの新しい表現に挑戦し、Cannesなど国内外の広告賞を多数受賞。またサステナブルな社会を目指すwebマガジンの運営を手掛ける。ソーシャルイシュー、メディアの知見を活かし、より社会的なインパクトを創出すべく、2012年にフューチャーセッションズを立ち上げ、クロスセクターの共創による社会イノベーションの実現を促進。関心領域は、環境、エネルギー、食。
経営層や現場といったレイヤーによって問題のとらえ方が異なっており、特に、コロナ禍で危機意識、課題感等の共通認識がとりにくくなっています。また、会社に所属して働くという根本がゆらいでおり、組織で働く意味が問われているのではないでしょうか?
そこで、問題となるのは、大きく3つあります。
自分たちが置かれている状況を客観的に把握し、どういう方向に向かっていくか予測ができず、既存の延長戦上で自組織の状況をとらえてしまいがちです。
変革への意思決定をする場合に、各論で利害・損得が一致しないため、誰が推進していくのか?
部門単体か?部門横断か?どのような成果が出ればよいか?設定しづらくなります。
多くの場合は、組織横断プロジェクトとして追加業務になりがちで、具体的に行動を変えていかなければいけない人たちは、意欲が継続できない。制度設計まで含めて、仕組みと紐づけできていないと、本気で推進されなくなります。
コミュニケーション不足があげられます。特にコロナ禍で、リモートワーク中心となり、コミュニケーションの機会が少なくなっていることも要因になります。それに伴い、価値観のズレが大きくなってしまいます。
また、中身について納得した上で行動してもらう必要がありますので、自分の強い意志を持っている人(自分の価値観を優先して動く)や優秀な人(忙しくて時間が割けない)たちには、時間をかけて丁寧にコミュニケーションする必要があります。
経済成長だけでなく社会への豊かさを実現しようと取組み続けていて、誰の何のために役立っているか実感でき、それが自分のやりたいこととつながっている、そんな仕事ができる組織ではないでしょうか。
ビジョンを作る場合、早い段階から全員を巻き込んで、プロセスに参加させて、自分で納得することが大事になります。そうすることで、取り組みながら徐々に納得感が醸成されて自分ゴト化していきます。実働するコアチームは、募集(手上げ式)で形成するのがよいですね。そして、会社から仕事としてきちんとアサインされることも大切です。
変革は、体質改善と同じで急激にやってもリバウンドしてしまいます。時間をかけて、気づかないうちに変わっていたというのが理想ですね。
上記のような人がバランスよくいるチームは、良い状態にあると思います。
また、チームに第三者が介入するなど日常とは異なるプロセスを入れることも効果的です。