デジタル人材の育成
公開日:2024年5月29日
本プロジェクトでは、AIの学習コスト低減に向け、量子アニーリングマシンを用いたボルツマンマシンの適応的学習機構の開発を目指す。
量子アニーリングマシンでは、古くから統計力学で研究されてきたイジング模型を実物理系を用いてシミュレートすることが可能である。そのため最近では、ギブス・ボルツマン分布からのサンプリングが必要なボルツマンマシンの学習において、量子アニーリングマシンをサンプラーとして活用する提案がなされ、研究が行われている。量子アニーリングマシンによるサンプリングはμsオーダーと非常に高速であると同時に、動作時の消費電力は25kW以下であることから、従来のGPUを用いる学習に対し高効率かつ低消費電力な学習を行える可能性がある。
そこで本プロジェクトでは、量子アニーリングマシンのハイパーパラメータを自動調整し、学習に適切な逆温度を持つギブス・ボルツマン分布への適応的制御技術の開発を行う。
量子アニーリングマシンを用いたボルツマン機械学習の学術研究は以前から実施されているが、それを実際にソフトウェアとして開発し、機械学習エンジニア等の従来コンピューティングのユーザに向けて量子コンピューティングに対する興味喚起として捉えた提案であり、野心的なものであると考える。未踏ターゲット事業期間の中で、様々な方々にヒアリングをし、そのヴィジョンを達成するために必要な機能や解説ドキュメントの整備を行うことで、意味のあるソフトウェア開発になることが期待される。
2024年5月29日
2024年度採択プロジェクト概要(松浦PJ)を掲載しました。