デジタル人材の育成
公開日:2023年10月6日
リザバーコンピューティングは、従来の機械学習と比べ、低消費電力かつ高速な学習を可能とする技術であり、今後の機械学習基盤として期待されている。
しかしながら既存のリザバーコンピューティングの実装においては、行列演算や、リザバーの制御を行うためのプロセッサに加え、リザバーを実現するための物理系が必要となるため、システムの構築が容易ではない。さらに、リザバーとプロセッサの間で必要となる通信が計算のレイテンシに影響を与えるなどの課題がある。
本プロジェクトでは、リザバーをプロセッサの内部に持つ、プロセッサリザバーを開発する。これは、温度やパイプラインの状態といった、時間変化するプロセッサの内部状態をリザバーとして活用した、革新的なリザバーコンピューティングである。本プロジェクトでは特に、プロセッサ内部における予測機構へ応用し、プロセッサリザバーの性能を検証する。プロセッサリザバーは、追加の装置を必要とする従来のリザバーコンピューティングと比べて、アクセシビリティと実行速度を向上させ、高効率な新しいリザバーコンピューティング基盤の創出につながることが期待される。
プロセッサを物理リザバーとして利用するという独創性・未踏性の高い提案である。
すでにある計算資源を利用する点と、リードアウト計算への円滑な接続が可能な点で、高効率な機械学習システムの実現につながると期待できる。提案手法の評価に用いる機械学習タスクは、プロセッサ高速化に貢献するもので、リザバー計算の応用例として新規性がある。
提案するプロセッサリザバーが機能すれば、すでにある計算機に取り入れることができるため、波及効果も高い。プロセッサのソフト面とハード面における知見・実績を有するメンバーが協力することで、提案するアイデアの概念実証に向けた技術開発に期待が持てる。
2023年10月6日
2023年度採択プロジェクト概要(浅野・菅・田中・平山PJ)を掲載しました。