デジタル人材の育成

2023年度未踏ターゲット事業(量子コンピューティング技術を活用したソフトウェア開発分野)採択プロジェクト概要(三瓶・七種PJ)

最終更新日:2023年6月2日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 棚橋 耕太郎(Turing株式会社)

2.採択者氏名

  • 三瓶 大志(早稲田大学 大学院先進理工学研究科 応用化学専攻)
  • 七種 紘規(早稲田大学 大学院先進理工学研究科 応用化学専攻)

3.採択金額

  • 3,600,000円

4.プロジェクト名

  • アニーリングマシンを用いた合金触媒の探索・解析支援ツールの開発

5.応募部門

  • カーボンニュートラル部門

6.応募枠

  • 通常枠

7.関連Webサイト

  • なし

8.申請プロジェクト概要

触媒は化学プロセスに必須の材料であり、その性能は反応効率を左右するため、カーボンニュートラル時代に向けた化学プロセスを構築する上では触媒のさらなる高性能化が必要である。そのため新規の触媒を高速に見つける手法の開発が望まれており、量子化学計算を用いたハイスループットな触媒探索は有望な一手段である。しかし、量子化学計算で必要なモデル化は材料の複雑性が増すほど原子配置の決定が困難になるという問題があった。
そこで、触媒の金属部分を例に、金属置換の組合せ最適化として捉えることで合金化時の原子配列をアニーリングマシンによって求解できると着想した。本プロジェクトではこのような合金の原子配置の決定やその分析を行うモジュールを開発することを目的とする。本手法の開発は合金への適用のみならず複合酸化物などの他の材料系にも容易に展開できることから、触媒材料全般の開発の大幅な加速につながることが期待される。

9.採択理由

カーボンニュートラルの実現に向け、触媒化学のますますの発展が重要とされている。申請者は、触媒の中でも特に合金触媒に着目し、その性能を飛躍的に向上させる研究開発を支えるソフトウェアを開発することを目指している。合金触媒は、金属の組合せの自由度の高さがあるため、これを最適化することは従来の計算手法のみでは困難である。その困難を、アニーリングマシンを用いたソフトウェアによって緩和することを検討している。
申請者は、従来コンピューティングを用いた量子化学計算についての経験を有し、また、アニーリングマシンを用いた合金上のCO分子吸着位置の最適化計算の経験を有する。これらについては、既に論文を発表しており、本提案を実現する上でのドメイン知識を既に有している。更に、従来コンピューティングを用いたAIについても独力で学んでおり、新しいコンピューティング技術を切り拓く人材として期待される点も評価できる。
未踏ターゲット事業における人材育成を通じて、アニーリング技術のさらなる習熟に努め、ソフトウェア開発を集中的に進めることで、触媒化学分野におけるドメイン知識とアニーリング技術との掛け算によるバイリンガル人材となることを強く期待する。

更新履歴

  • 2023年5月29日

    2023年度採択プロジェクト概要(三瓶・七種PJ)を掲載しました。

  • 2023年6月2日

    棚橋プロジェクトマネージャーの所属を変更しました。