デジタル人材の育成
公開日:2023年5月29日
境界要素法は、工学における様々な問題を解くための数値シミュレーション手法として、古くから利用されてきた。一般的に、境界要素法は差分法や有限要素法に比べて計算精度は高く、波動解析に有効な手法として知られている。しかし、必要計算時間が多大となる欠点がある。一方、近年、量子コンピューティングを用いた有限要素法の研究がいくつか報告されており、既存計算機では解けないような問題への挑戦が既に始まっている。
そこで、本プロジェクトでは、現在未踏な、量子コンピューティングによる境界要素法を開発する。量子コンピューティングによる境界要素法の特徴等を整理し、その有効性等について検討する。将来的に非破壊評価や地震シミュレーション等といった大規模波動解析を伴う社会課題を解決することを目指す。
量子コンピュータは線形代数操作が得意であるという点に着目し、汎用性の高い離散解析計算手法である境界要素法に量子コンピュータを適用するという提案です。
本テーマは未踏性が高く、また境界要素法は地震や音響などの波動の解析など応用が広いことから、大きなインパクトを持ちます。高度な知識が必要となりますが、提案者は離散解析計算手法に関する知識と経験を十分持っており、その知見が量子アルゴリズムと融合することで重要な進展が得られると期待しています。
また、計算技術の普及・教育活動にも熱心に取り組まれており、量子コンピュータという革新的な計算技術を汎用離散化解析分野に取り込む先駆者となっていただきたいと思っています。
2023年5月29日
2023年度採択プロジェクト概要(齋藤PJ)を掲載しました。