デジタル人材の育成

2022年度未踏ターゲット事業採択プロジェクト概要(小野PJ)

最終更新日:2022年5月27日

1.担当PM

  • 山本 直樹(慶應義塾大学 量子コンピューティングセンター センター長/理工学部 物理情報工学科 教授・博士(情報理工学))

2.採択者氏名

  • 小野 宏史(株式会社MILIZE)

3.採択金額

  • 1,800,000円

4.プロジェクト名

  • 量子バンディットアルゴリズムの実験的検証とAPI開発

5.応募部門

  • ベーシック部門

6.応募枠

  • 通常枠

7.関連Webサイト

  • なし

8.申請プロジェクト概要

既存の計算技術を凌駕する量子計算について、これまでに様々な提案がなされてきた。量子計算が優位性をもつ例をあげると、N個のデータベース探索問題を、平方根のオーダーで探索可能にするグローバーのアルゴリズムがある。

本プロジェクトでは、選択肢から得られる方策に従い行動を変化させ報酬を最大化するバンディットアルゴリズムに注目する。そして、これに上述の量子探索アルゴリズムを応用した量子版バンディットアルゴリズムの有用性を明らかにする。具体的には、先行研究として近年理論的な提案がなされているが、実データによる検証、応用例については、これまでほとんど論じられていないため、今回の研究で明らかにする。さらに、複数のモデルを組み合わせることにより精度向上を可能にするアンサンブル学習を、量子バンディットアルゴリズムに応用した提案の有用性を明らかにする。とくに、より実践的な問題設定である、ユーザーの属性を考慮した文脈付きバンディットアルゴリズムに拡張した場合において、グローバー探索のアルゴリズムと量子と古典のアンサンブル手法による有用性の研究を行う。

実用化に向け、上記研究で得られたモデルやアルゴリズムを、クラウドコンピューティングリソースにデプロイメントを行い、誰でも使用可能なシステムを構築・実装する。

9.採択理由

バンディットアルゴリズムは「選択肢が複数あり、どの選択肢を選ぶと効果が高いが事前には不明」という状況下で効率的な選択則を与えるもので、広告配信など様々な応用があります。そして、このアルゴリズムは、量子計算機上では従来より少ない問い合わせ回数で実行できる可能性があります。

本プロジェクトは量子計算機上でバンディットアルゴリズムを走らせ、その効果を検証するためのソフトとAPI開発を世界で初めて行うものであり、大きな意義があります。機械学習エンジニアによる出口思考のプロ実装力と開発物が大きく期待されます。

更新履歴

  • 2022年5月27日

    2022年度採択プロジェクト概要(小野PJ)を掲載しました。