デジタル人材の育成
最終更新日:2022年5月27日
量子コンピュータを用いて分子の電子状態計算を行うことで、従来は計算コスト上解析が困難だった分子の計算が可能になると考えられている。しかし、現在のデバイスでは量子化学計算で必要とされる計算精度を達成できていない。
本プロジェクトでは、電子状態が満たすべき物理量の関係を利用し、その勾配によって電子状態の計算結果を補正する新規手法を開発する。本手法の補正対象は測定量ではなく電子状態の波動関数であるため、様々な物理量の精度を向上させられる可能性がある。また、本手法は既存の計算手法と容易に組み合わせられるため、量子コンピュータの化学分野での利用を加速することが期待される。
NISQデバイス(現在実現している規模の量子コンピュータ)を利用し、その性能を引き出すためには、ノイズ補正とよばれるノイズの影響を除去するテクニックが不可欠です。これまで、量子コンピュータから得られた結果を補正する方法は提案されてきました。しかし、状態そのものを利用する量子アルゴリズムでは、従来の補正方法では不十分です。
本提案では、欲しい状態がもつ対称性の情報から、得られる量子状態そのものを補正する、という新たなノイズ補正のアプローチの提案です。本手法は全く新たなアプローチなので、実機のノイズを補正する上でどれくらい有用性が発揮できるか、本プロジェクトで明らかにしてもらいたいと期待しています。
2022年5月27日
2022年度採択プロジェクト概要(後町PJ)を掲載しました。