デジタル人材の育成
公開日:2024年6月25日
人々に癒しを与えるロボットとしてデジタルペットが存在するが、現代のデジタルペットは動物らしさや癒しを与えることを追求して高価なものが多く、入手が難しい。安価なデジタルペットではバーチャル空間上のみで育成するものがほとんどで、手触りなどの感触から得られる癒し体験が薄い。また、生命を持つペットであってもデジタルペットであっても、今までは与えられた選択肢から選ぶことしかできなかった。それだけでは、各個人の最も癒されると感じるペットが選択肢の中には存在しないこともある。
これらの課題から本プロジェクトでは、各個人が理想とする最も癒される存在を簡単に作り出すことのできる世の中を実現するために、低価格でかつ様々な動物や架空の生物をデジタルペットとして作成するためのプラットフォーム(以降「デジタルペットプラットフォーム」と呼称する)を開発する。
本プラットフォームでは、外観を担うロボットと、それに差し込むスマートフォン、およびスマートフォンにインストールするアプリケーションの構成によって、ユーザが触れ合うことができる実体を持ったデジタルペットを実現する。スマートフォンをロボットの一部とすることで、ロボット本体に組み込むアクチュエータ数を抑えることができ、低価格化が実現できる。さらに、本プラットフォームでは飼育対象をアプリケーション内で制御されるロボットの「魂」とするため、ロボットの外観に縛られることがない。よって、着せ替えパーツの組み合わせを変えることで、自分だけのオリジナルデジタルペットを簡単に作り出すことが可能となる。
本プラットフォームによって、各個人が理想とする最も癒される存在を簡単に作り出すことができる世の中を実現することが期待できる。
ペットロボットというと、単体で動くものを想像しがちではあるが、スマートフォンを使って表情を出すことで、まるでペットロボットのように表現をするというアプローチは、スマートフォンが普及したいまだからこその提案である。今やスマートフォンは多目的なデバイスとして、電話以外の利用用途の方が大きいが、その中でもスマートフォン内のアプリから飛び出して、物理的なデバイスと組み合わせて利用されることも増えてきた。
本プロジェクトでは、単に機能性からアプローチしたわけではなく、可愛さ、愛らしさ、愛おしさなど、感情面からのアプローチをしているが、単体のロボットに比べるとより安価で複雑な感情表現を行えることから、既存のロボットの提案に比べても斬新である。このようなアイデアとクリエイティブにより、ペットロボットという分野における新たな表現方法を提案するものであり、技術的には未踏性は高くないが、それによって生まれる利用者の新しい感情表現を作ること自体には未踏性が高いと判断し、採択した。
2024年6月25日
2024年度採択プロジェクト概要(今野・川尻・吉田PJ)を掲載しました。