デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2023年度採択プロジェクト概要(加藤優・森口・木付PJ)

公開日:2023年6月19日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 曾川 景介(株式会社メルコイン取締役CINO)

2.採択者氏名

  • 加藤 優(千葉大学融合理工学府創成工学専攻イメージング科学コース)
  • 森口 椋太(東京大学理学系研究科物理学専攻/株式会社a.s.ist代表取締役)
  • 木付 碧(千葉大学大学院融合理工学府創成工学専攻建築学コース)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.プロジェクト名

  • 生成AIを使った制作システムで実現する循環型プラットフォーム

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

本プロジェクトでは、生成AIを使ったデザイン制作アシスタントシステムと循環型プラットフォームを開発する。

近年、廃棄問題は世界的な社会問題となっており、国内外の様々なブランドがアップサイクルプロダクトや再生可能な素材を使ったプロダクトを開発する取り組みを行なっている。このような取り組みの数は年々増えているが、まだ一部の人々にしか届いておらず、問題解決にはなっていない。より多くの人々に普及させるには、従来の消費行動を超えるインセンティブを設計する必要がある。

アップサイクルプロダクトの魅力は、モノが持つ唯一性と意外性のある組み合わせである。しかしながら、このようなプロダクトのデザインは独創的な発想と素材への知見が必要である。結果的に一部の人々しか制作のプロセスに参加することができない。

そこで本プロジェクトでは、生成AIを使い非デザイナーのユーザでもデザイン制作ができるアシスタントシステムと循環型プラットフォームを開発することで、この問題を解決する。

本プラットフォームでは、生成AIと探索するシステムを用いて、廃棄予定であったり使われなくなったりした素材などから自分好みのデザインを制作できるようにする。そして、好きなデザインの制作によって出る廃材や他のユーザから提供される素材がプラットフォームを循環することで、ユーザと環境の双方に価値を創出する。本プロダクトが普及することで、従来の消費の楽しさである新たなデザインを手にいれる行為を肯定しながら、大量生産・大量消費を減らし、環境問題や廃棄物問題を解決することが期待される。

7.採択理由

本プロジェクトでは、古着を活用するための生成AIを用いた制作システムとマーケットプレイスを作成することで循環型プラットフォームを作成し、リサイクルにとどまらないアップサイクルの実現を目指す。

ファッションの世界では、大量生産と大量廃棄という社会的に大きな問題を抱えている。環境負荷が高いのはもちろんのことだが、安い労働力を求めてグローバル資本による人権の侵害が行われるなど、複数の倫理的な課題を抱えている。本プロジェクトでは、生成AIを活用することで既存の衣服から新しいデザインを作り出し、さらにプラットフォームを通じて消費者とクリエイターが力を合わせて、限りある資源を大切に活用することができる環境を実現しようとしている。

フリマアプリなどを通じたリサイクルには限界があり、全ての衣類を有効に活用できている状態には至っていない。もちろん本プロジェクトのみで全ての問題は解決できないだろう。加えて、ロジスティックスやスケールにも課題が多い。しかし、手元にある衣類を少しでも長く、また楽しむためにアップサイクルの実現を目指すという野望は挑戦してみる価値がある。

更新履歴

  • 2023年6月19日

    2023年度採択プロジェクト概要(加藤優・森口・木付PJ)を掲載しました。