デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2023年度採択プロジェクト概要(小山PJ)

公開日:2023年6月19日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 総長補佐・先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 小山 高(東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.プロジェクト名

  • ぬいぐるみ専用の組み込みAIモジュールの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

本プロジェクトではぬいぐるみ専用の組み込みAIモジュールを開発し、あらゆる種類のぬいぐるみにロボティクスを適用する。そして、幅広いぬいぐるみに効率的に知能を埋め込むためのプラットフォームの構築を目指す。

ペットを飼うことは、現代においては非常に大きな決断となりうる。昔も今もペットに世話が必要なことは変わりない。しかし、特に犬や猫では現代特有の事情が絡んでくる。一つは、都市化が進み、ペットを飼いづらい環境になってきていることである。もう一つは、ペットの長寿命化である。医療の発展に伴い、犬や猫の寿命はこの数十年で飛躍的に伸びている。これは喜ばしい一方で、ペットを迎える行為が自身の今後15年の生活を左右する決断になったことを意味する。そういった背景も踏まえてか、近年では家庭用犬型ロボットなども販売され始めている。しかし、これらはペットとしての犬を意識しているためか、高機能な一方で価格が非常に高い。

そこで本プロジェクトでは、機能を抑えた上でも違和感を最小限に止めるべく、普段は動くことのないぬいぐるみに知能を埋め込む方針でペットロボットを開発しようと考えた。しかし、それでもぬいぐるみ固有の問題が生じる。
ぬいぐるみとは究極的には自身の鏡である。つまりそれは自己を投影しうる対象であり、外見には人それぞれ好みがある。そして、事実として世の中には犬や猫、熊、うさぎ、ねずみなど、あらゆる種類のぬいぐるみが存在する。もしこれらすべてにロボティクスを適用しようとしても開発費が莫大となり現実的ではないし、いくつかについて実装しただけでは需要を満たしきれない。

そこで本プロジェクトでは、ぬいぐるみのロボット化に特化した組み込みAIモジュールを開発し、ぬいぐるみの骨格の規格化を目指す。そして、ぬいぐるみの毛皮と骨格の開発過程を分離することで、幅広いぬいぐるみに効率的に知能を埋め込むための土台を築き上げる。

7.採択理由

ぬいぐるみ愛に溢れた提案である。ぬいぐるみ型のロボットに関する事例は多数あるが、このプロジェクトは様々なぬいぐるみに適用可能な駆動部としての骨格と、その制御ソフトウエアの開発を目指している。隆盛を誇る生成系AI等も駆使することで、ペットの代替でない、ぬいぐるみならではの新たなインタラクションを構築することが期待できるため、採択と判断した。

更新履歴

  • 2023年6月19日

    2023年度採択プロジェクト概要(小山PJ)を掲載しました。