デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2023年度採択プロジェクト概要(加藤路瑛・安東・寺崎PJ)

公開日:2023年6月19日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 総長補佐・先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 加藤 路瑛(学校法人角川ドワンゴ学園S高等学校/株式会社クリスタルロード代表取締役社長)
  • 安東 鷹亮(フリーランス)
  • 寺﨑 優葵(情報経営イノベーション専門職大学/特定非営利活動法人サクラテンペスタ理事長/合同会社Redigiform代表社員)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.プロジェクト名

  • 五感情報を記録・共有するセンサリーマップの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

本プロジェクトでは、感覚過敏などの感覚特性によって外出に課題がある人々の外出、移動、買い物、レジャーなどをサポートするセンサリーマップを開発する。

感覚過敏とは、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの諸感覚が過敏になっていて日常生活に困難さを抱えた状態である。感覚過敏は、発達障害(特に自閉症スペクトラム)に多く見られる症状であるが、うつ病やPTSDなどの精神疾患、自律神経失調症、認知症や高次脳機能障害など後天的にも生じる症状でもある。感覚過敏自体は病名ではなく、これらの障害や疾患の「症状」であるため、一般的には診断されるものではなく、感覚過敏自体の緩和方法も確立されていない。
感覚過敏の課題はたくさんあるが、社会的な部分での問題は、感覚特性によって学校に通えない、就労できない、外出が困難である部分が大きい。感覚過敏がある人は、光や音、匂いなどの刺激で外出に苦労をする。対策として、イヤーマフやノイズキャンセリングイヤホン、サングラスや調光レンズなどを使用するが、刺激のカットは完全ではないため体力消耗が激しくなる。小さな子どもの場合、メルトダウンというパニック状態になり、落ち着くのに数時間かかる場合もある。

本プロジェクトでは感覚過敏の人々の外出の課題にフォーカスし、移動・買い物・レジャーなどのハードルを下げるサービスを開発する。具体的には、地図APIを利用した、特定場所の五感情報をユーザが口コミ形式で投稿でき、誰もがそれを閲覧できるサービスを想定している。手軽にスマートフォンで外出先の感覚情報を見られるようにすることで、感覚過敏の人々がその場所に行く際の心構えや対策、あるいは回避ルートを考えることができるようにする。また、センサリールームやカームダウンスペースなどの、感覚刺激が少ない落ち着けるスポット情報も表示できるようにする。

7.採択理由

都市生活は様々な刺激に溢れている。しかしながら過度の刺激を忌諱し、屋外での行動に不自由を感じる人々がいる。このプロジェクトは感覚過敏の人々のための特定の場所での五感情報を示すマップの構築を目指した提案であり、社会的意義のあるプロジェクトである。

リアルタイムの騒音や光その他の過敏原因に関する情報収集には課題があるが、過去にもチクチクしない服の開発などプロジェクト運営の実績も豊富にあり、感覚過敏の当事者コミュニティの構築など、応募時の提案に留まらないプロジェクトの進展を期待し採択とした。

更新履歴

  • 2023年6月19日

    2023年度採択プロジェクト概要(加藤路瑛・安東・寺崎PJ)を掲載しました。