デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2023年度採択プロジェクト概要(土肥 PJ)

公開日:2023年6月19日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 五十嵐 悠紀(お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 准教授)

2.採択者氏名

  • 土肥 正義(東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.プロジェクト名

  • ロボット記述言語に基づくドローン開発支援ツール

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

近年ドローンの産業分野への応用が急速に進んでいる。その背景にはPixhawkに代表されるカスタムドローン用ハードウェア・ソフトウェアの発展があり、非専門家でもドローンの開発がしやすい環境が整ってきている。しかし、現在のドローンの開発環境には2つの課題がある。

1つ目は、既存の飛行制御器の拡張性の低さである。既存の飛行制御器は簡略化された機体構造を想定しており、ドローンなどの複雑な機体構造を持つドローンに既存の飛行制御器を無理に適用すると制御が不安定になる恐れがある。また、既存の飛行制御器自体にユーザのプログラムから指令を送ることはできず、そのためには追加のコンピュータが必要となる。2つ目は、ミッション遂行に必要な機体のスペックを事前に調べるのが困難な点である。カスタムドローンを簡単かつ現実に即した条件でシミュレーションできる既存のツールはないため、ドローン開発においては試行錯誤に多くの時間がかかる。
これらの課題を解決するために、本プロジェクトでは新しいドローン開発支援ツールを開発する。1つ目の課題に対しては、ロボット記述言語に基づく制御器を構築する。既存の飛行制御器と異なり機体のリンク構造や質量特性を詳細に考慮することで、あらゆるドローンに対して高精度な制御を可能にする。2つ目の課題に対しては、読み込んだドローンを元に現実に即した空力シミュレーションを提供する必要な設定はGUIで完結し、専門的な知識がなくてもユーザが設計したドローンをシミュレーションできる環境を実現する。

ソフトウェア全体をROS(Robot Operating System)に対応させ、その拡張性を最大限確保する。また、専用のハードウェアを用意し、シミュレーションとほぼ同じインタフェースで実機でも動作するようにする。
本プロジェクトにより、ドローンを開発する際の時間的、金銭的コストが大幅に縮小され、産業用のドローン開発を加速させる効果が期待できる。

7.採択理由

本プロジェクトは、ドローンのリンク構造や質量特性を取得して、それに基づいて制御器を構築することで、既存のフライトコントローラの拡張性の低さを解決し、読み込んだドローンを元に現実に即したシミュレーションができる環境を提供する提案である。ドローン自作機の開発をしているユーザが感じている課題を明確にし、それを解決する支援ツールの実現を目指すもので、シミュレーションの粒度を少し粗くしているもののそれでもそれなりの難易度があり、未踏的挑戦がある。実装可能性も高く、社会的意義が大きいと期待して採択した。

更新履歴

  • 2023年6月19日

    2023年度採択プロジェクト概要(土肥 PJ)を掲載しました。