デジタル人材の育成
最終更新日:2022年6月20日
本プロジェクトのクリエータである山形と麻は、学生時代にフィギュアスケートの競技者として、練習や後輩への指導に向き合ってきた。練習や指導に取り組む中で、特にジャンプに苦戦してきた。まず、ジャンプは一瞬なので、頭で考えている暇がない。
次に、着氷は後ろ向きにしかできないので、徐々に回転を増やしていく練習ができない。最後に、作用反作用の法則により、空中では、各部位の動作を独立にコントロールできない。例えば「右足以外はそのままで、右足の動きだけを変える」ことはできない。これらの結果、言葉で直すべきポイントを理解するだけでは、実際には直せないという壁に何度も直面してきた。
競技者達は、直すべきポイントを言葉で理解して実践しようとするだけでなく、上手な人のジャンプをお手本として見ることで、ある程度の感覚を掴み、ジャンプを習得してきた。しかし、自分の動きとお手本の動きの違いが大きく、特に練習しはじめのジャンプでは、そのお手本を自分が跳ぶ感覚に繋げるのが難しい。そこで本プロジェクトでは、スマホで練習を撮影した定点映像から競技者を追跡し、ジャンプを検出して切り抜き、そのジャンプを加工した映像もしくは画像を生成して見せることで、ジャンプの感覚的な理解を促進させるシステムを開発する。
このアプローチの応用は、フィギュアスケートに留まらない。今後、あらゆる競技において科学的な分析が進むにつれて、その際にネックになるのは、分析そのものではなく、「分析によって得た情報を、人間が理解できるように伝えること」である。そこで本プロジェクトのように、動画によって感覚を人間に伝える方法が必要になると考えている。
自らフィギュアスケートで活躍している提案者2名によるトレーニング支援システムの提案である。今までジャンプ動作の定量化を行うなど、デジタル技術をすでに積極的に取り入れており、今回動画像解析により姿勢推定を行い、トレーニングの効率を格段に上げることを目指した点が興味深い。
このプロジェクトをきっかけに多くの人々がフィギュアスケートのプレイや観戦に興味を持ったり、初心者からプロまで活用可能なシステムに育つことを期待し採択とした。
2022年6月20日
2022年度採択プロジェクト概要(山形・麻PJ)を掲載しました。