デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2022年度採択プロジェクト概要(栗本・黒木・松田PJ)

最終更新日:2022年6月20日

1.担当PM

  • 稲見 昌彦(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 栗本 知輝(東京大学大学院学際情報学府 先端表現情報学コース)
  • 黒木 琢央(東京大学大学院新領域創成科学研究科 人間環境学専攻)
  • 松田 響生(東京大学大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • VRと電動トレーニング機器を用いた筋力トレーニングシステム

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

近年、筋力トレーニング(以降、筋トレ)の健康的価値が認識されてきたことや、フィットネス市場が拡大してきたことに伴い、筋トレを行う人が増加している。それに伴って、筋トレを行うためのツールも拡充しつつある。その中でも電動トレーニング機器は、多様で豊富なデータを取得できる点や、トレーニング中に負荷をリアルタイムで調整できる点に強みを持ち、急速に広がりつつある。

このような特徴により、電動トレーニング機器は従来の金属製の重りに比べて、他の情報技術と多様で密な連携をすることができる。この連携によって電動トレーニング機器は、新しいトレーニング体験・価値を生み出すポテンシャルを秘めているが、現在の訴求ポイントは、トレーニングデータが自動記録される点や、負荷調整によりトレーニングの補助をする点など、一部に止まっており、そのポテンシャルを十分に発揮しているとは言い難い。

一方、近年技術的進歩が進み、筋トレへの応用を期待できる情報技術として、VR(Virtual Reality)が挙げられる。VR空間では、クロスモーダル効果をはじめとする錯覚効果を生成したり、物理世界では実現できない体験を作ったりすることができる。こうした現象や体験を筋トレに応用することは、新しい効果や体験の創出に寄与すると考えられる。

本プロジェクトでは、独自の電動トレーニング機器にVR技術を連携させることで、トレーニングにおける新しい効果や楽しさを生み出すことを目指す。トレーニングデータに基づいてVRの錯覚効果を提供して挙上支援をしたり、VR空間と連動して負荷を変えたりして、これまでにないトレーニング支援や楽しいトレーニング体験を実現し、筋力トレーニングに対する「辛い」「つまらない」といったネガティブなイメージを刷新する。

7.採択理由

デジタル技術を用いたトレーニングシステムは過去の未踏事業でも数多く提案されているが、本システムは、VRを用いた錯覚により、筋トレの効果を向上させようとしている点に新規性がある。独自の電動トレーニング機器も興味深い。

情報化が進むことによる身体性の喪失が懸念されている中で、VRを積極的にトレーニングに活用する「Physical eSports」という新たな分野への展開を期待し採択とした。

更新履歴

  • 2022年6月20日

    2022年度採択プロジェクト概要(栗本・黒木・松田PJ)を掲載しました。