デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2022年度採択プロジェクト概要(内田・アトムPJ)

最終更新日:2022年6月20日

1.担当PM

  • 五十嵐 悠紀(お茶の水女子大学 理学部 情報科学科 准教授)

2.採択者氏名

  • 内田 郁真(筑波大学大学院理工情報生命学術院 システム情報工学研究群)
  • スコット アトム(筑波大学大学院理工情報生命学術院 システム情報工学研究群)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • トラッキング技術を用いたサッカー試合映像の検索・分析システム

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

サッカーにおいて勝利を追求する為の手段の一つに試合映像の振り返りがある。この分析活動はプロチームから育成カテゴリまで数多くのチームが実施しており、分析を支援する製品も存在する。一方試合の分析プロセスでは、既存の分析ツールが解決出来ていない課題が2つある。

1つ目は『映像編集の負担』である。振り返りの為の映像選定・編集には大幅な時間を要する。これはチームの練習も毎日指導するコーチにとって大きな負担となる。また選手はそれぞれプレーに課題を抱えているが、映像選定の負担から選手個人の分析も難しい。2つ目は、『データの活用方法』である。昨今スタッツ分析等の試合分析手法が興隆しているが、選手やコーチは数理統計を専門に学んでおらず、映像と紐付いていないデータの活用方法がわからないなどの課題もある。

本プロジェクトではこれらの課題を解決する為に、ビデオトラッキングベースの自動分析ツールを開発する。本ツールではトラッキング技術を用いて以下の機能を実現する。

1つ目は『類似シーンの検索機能』である。映像から取得したトラッキングデータをもとに、シーケンス間の選手の移動軌跡を出力し、軌跡の類似度を算出することでプレー映像の検索を行う。軌跡の類似度を算出しているため、自由度の高い検索が可能となる。そのため選手とスタッフは見たい映像を容易に取得可能となる。

2つ目は『自動分析レポート作成機能』である。走行距離やスプリント回数、疲労度などの指標は試合の分析に多く用いられる。本ツールはこれら指標をトラッキングデータから算出し、レポート化することでフィードバックの充実を図る。また取得したデータと映像はツール内で時系列的に結び付くので、試合の文脈を考慮したデータ分析も可能となる。

7.採択理由

本プロジェクトでは、サッカー選手とコーチのために、「見たい映像」を素早く検索するためのシステムを開発する。

サッカーの試合映像に対して、記録・分析・提案を自動で行うというものであり、パス、シュートなどといったイベント情報と結びつかない複雑な検索を可能にするという検索自由度の高さが、本提案のカギである。

トラッキング技術についてはすでに実装を始めており、サッカーに関する知識も経験も豊富であり、開発力もある彼らだからこそ、サッカー選手とコーチの両者にとって使いやすいAI検索・分析ツールを開発してくれるだろうと期待して採択とした。積極的に現場での運用実験も行いながら、検討・開発していくことを期待する。

更新履歴

  • 2022年6月20日

    2022年度採択プロジェクト概要(内田・アトムPJ)を掲載しました。