デジタル人材の育成
最終更新日:2022年6月20日
コロナ禍においてテレビ会議システムが急速に普及し、会議形式の選択肢が増えることとなった。オンラインでの会議は場所に制約されない点にメリットがあるが、対面での会議の方が意思疎通をしやすい傾向にあり、両者は一長一短の関係にある。そこで両者の中間にあるハイブリット会議という形式がとられることも多い。
ハイブリット会議では会議室に出席できない参加者はオンラインにて参加するため、ビデオ会議システムを用いて会議室での議論をオンライン参加者に共有することとなる。ここで議論の共有方法は重要な課題であり、特に参加者の声をローコストかつ自然な形で共有する方法は確立されていない。会議室の参加者が各自のマイクを使うと発言のたびにミュート解除をする必要があり生産性が低下してしまうため、会議用のマイクとして無指向性かつ遠くの音を拾うことができる高性能なマイクを購入する場合が多い。このハードウェア購入のコストという問題に加え、会議室で複数の人が同時に話しているとオンラインでの参加者は聞き取りづらくなるという問題も存在する。
本プロジェクトでは、対面参加者が各自のスマートフォンをマイクとして利用し、音声を統合するシステムを開発する。このシステムでは追加のハードウェア購入を必要とせずに全ての参加者の声を拾うことが可能となる。さらに、音声統合システムでは音のVRを用いた処理を行うことで、複数の話者が話している状況でも聞き取りやすいシステムを構築し、円滑なハイブリッド会議を実現する。
コロナ禍で爆発的に普及したオンライン会議において、会議室におけるマイクの問題は誰もが経験したことではないだろうか。ハイブリッド会議の会議室側では離れて座っているため、どうしてもマイクが遠くなるメンバーが発生してしまい、オンライン側で参加しているメンバーが音声を聞き取りづらくなってしまう。かといってメンバーそれぞれが手元のPCマイクをONにするとハウリングやエコーが発生してしまうという状況である。
本提案は、複数スマートフォンのマイクを連携させ、参加者の声を収音するマイクシステムを開発するものであり、まさに今発生している課題・ニーズを捉えた大変有益な提案であると考え、これを採択した。
ただし、複数のスマートフォンのマイクを連携させた音声統合の実現は、技術的に簡単ではないことを補足しておきたい。音源分離や精緻な同期問題をどう解決するのか、未踏性あるテーマであると考えている。誰もがスマートフォンを持つ時代に、ハイブリッド会議をどう再構成できるのか、その取り組みに期待している。
2022年6月20日
2022年度採択プロジェクト概要(関・大澤PJ)を掲載しました。