デジタル人材の育成
最終更新日:2021年6月25日
レースドローンとは、ドローンが指定のコースを周回し、そのタイムを競うドローンレースと呼ばれる競技で使用されるドローンである。パイロットは、無線で中継されたドローン上のカメラの映像をモニターやゴーグルに表示し、それを見ながらドローンの操縦を行う。ドローンの最高速度は150km/h以上にも達するため、レースドローンにおける無線映像伝送ではレイテンシが小さいことが重要である。
そのため、現在のレースドローンにおける無線映像伝送では、レイテンシに優れるアナログ映像伝送が主流である。しかし、アナログ映像伝送には、低い解像度、ノイズの多さなどの点において大きな問題がある。本プロジェクトでは、FPGAを用いたノイズの少ない高解像度なデジタル映像でのレイテンシの低い無線伝送技術を開発する。
旧来、デジタル映像伝送は、高解像度、低ノイズの鮮明な映像を伝送することができるが、レイテンシが大きく、レースドローンには適さないと考えられていた。本プロジェクトは、デジタル映像伝送を構成する各コンポーネントにおけるレイテンシを測定し、ボトルネックを明らかにすると共に、そのボトルネックをFPGAで代替するシステムを開発するものである。
本システムにより、ドローンのパイロットは鮮明な映像を見ながらドローンを操縦することが出来るようになるだけでなく、その映像を配信する際にはコンテンツとしての価値が高まり、結果としてレースドローンの人気を高め、その地位向上に寄与することが出来る。
また、この技術はレースドローンのみに適用されるものではない。自動運転車、無人航空機の自律運転など、カメラを搭載するあらゆるデバイスが送信した映像をエッジ処理するための重要な基盤となりうる。
ドローンのレースは、そのスピード感とアクション性から急速に広まっているが、その実況に使われる映像については改善の余地が大きい。特に、現状ではアナログ中継になっておりしばしば映像が乱れ、デジタル中継においては遅延が大きく実用性が低いという課題がある。
今回の提案では、そのような課題を解決すべく、デジタルでありながらも低遅延を目指すために、バッファリングを無くしたり、クロックソースをパケットに合わせて生成したり、フレームを分割して圧縮にかかる遅延を小さくしたりと、デジタルにおける遅延の原因を全て排除し、劇的に遅延をなくすという取り組みをしている。
今回はレースドローンというターゲットであるが、映像の低遅延伝送という大きな枠で見ても可能性は大きく、未踏性の高い取り組みと評価している。
2021年6月25日
2021年度未踏IT人材発掘・育成事業:水野プロジェクト概要を掲載しました。