デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2021年度採択プロジェクト概要(原田PJ)

最終更新日:2021年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 竹迫 良範(株式会社リクルート データプロダクトユニット ユニット長)

2.採択者氏名

  • 原田 慧(東京農工大学 機械システム工学科)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • 風呂を掃除するタコ型ロボットとシミュレータの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

本プロジェクトでは浴槽内の掃除を行うタコ型ロボットと、そのシミュレータを開発する。これは風呂掃除が可能な自動化家電である。

風呂掃除をさぼると付着した水分が蒸発し水垢が残る。水垢自体が人体に害を及ぼすことはないが、放置すれば雑菌が繁殖しやすくなり悪臭の原因となる。したがって日常的に取り組む必要があるが、風呂掃除は時間もかかり大変である。多くの人々が家事労働の中で最も大変だと感じているのが風呂掃除であり、その自動化家電に需要があることが分かる。

ルンバのような従来の掃除ロボットは天井や浴槽の内壁を移動したり、垂直な壁を上り下りしたりできない。磁力による吸着で移動する窓拭きロボットは、その移動原理から浴槽内の複雑な環境を自律的に移動することは不可能である。

そこで本プロジェクトでは、タコの持つ吸着性や腕の多用途性を取り入れ、天井や壁などの複雑な環境も歩行可能な移動性(吸着性)を獲得し、防水性、浴槽の隅を掃除できる伸縮自在の腕を兼ね備えたロボットを製作する。また、壁や天井とハードウェア間の多点接触の各接触点から受ける力をモデル化し、それに基づいてタコ足の多関節の動作計画をシミュレートするシミュレータを開発する。シミュレータ上で学習を行い、あらかじめ歩行方法を獲得させたロボットを実際の環境に投入し、強化学習させることで、浴槽内を自律的に移動し、付着した水分を自動で拭きとることが可能な機械システムを開発する。

この機械システムを利用することで、ユーザの日常における家事労働の負担が減り、風呂掃除に費やしていた時間を別の有意義な時間へ割けるようにすることで、ユーザのより快適な暮らしを実現したい。

7.採択理由

風呂掃除専用ロボットは各家庭でニーズがある分野であるが、いくつかの制約条件の元でいろいろな場所を移動する必要があり、技術的難易度が高い。剛性のある硬い足をサーボモーターで制御するようなロボット機構は既に多くの実装と理論があるが、柔らかく動くタコ型の足を制御して浴槽を傷つけないように移動するような「ソフトロボット」は実装も少なく理論化もされていない。

本提案は風呂掃除という大きなゴールに向かってタコ型ロボットを作って解決することを掲げているが、柔らかく動く制御機構をどのようにすれば実現できるか多くの試行錯誤を繰り返す必要がある。ソフトロボットの製作過程を通じて、家の中で人とロボットが優しく共存していける未来の実現を期待したい。

更新履歴

  • 2021年6月25日

    2021年度未踏IT人材発掘・育成事業:原田プロジェクト概要を掲載しました。