デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2021年度採択プロジェクト概要(依田PJ)

最終更新日:2021年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 総長補佐・先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 依田 実波(筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類 知識科学専攻)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • 実世界植物検索システム

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

道端の植物観察が人気になってきている。フランスでは「道端の雑草の名前をチョークで紹介する」というムーブメントが起こり、ヨーロッパ全土に広がっている。ロンドン在中のフランス人植物学者Sophie Leguilは雑草の概念を変えようと、「#MoreThanWeeds」というプロジェクトを立ち上げた。日本でも同様に、「やけに植物に詳しい悟空」という雑草の特定をするTwitterアカウントがフォロワー13万人を超えたり、雑草約100種の花を紹介する「美しき小さな雑草の花図鑑」が2018年2月の初版から12刷を重ねて発行部数が4万5千部にも上ったりして、関心が高まっている。

しかし、既存の検索システムに道端の植物の情報は載っていない。例えば、Googleで「つくば 春日 植物」と検索すると、近くの花屋や植物観光スポットである筑波山が検索結果として出力される。一方で、TwitterなどのSNSでは、写真とともに道端の植物がツイートされている。しかし、タイムラインのツイートは見逃しやすく、そのアカウントをフォローしていないと気付くのも難しい。また、Googleマップにも道端の植物の情報は載っておらず、実際に植物が生えている場所を知ることはできない。

そこで本プロジェクトでは、現実世界とリンクした植物検索システムを開発する。TwitterのツイートとGoogleストリートビュー中の画像をマルチモーダルに活用し、実世界にある植物を検索できるようにすることで、ユーザが従来気づけなかった道端の植物に目を向け、名前を知ることができるようにする。アプリケーション内で、植物のカテゴリーや季節でフィルタリングを行い特定の植物を検索する機能、マッピングされている道端の植物や雑草がユーザの現在地から行動範囲内であれば通知をする機能を提供することで、ユーザが地図上のどのマーカをタップしたか、実際にその場所まで移動したかなどのデータを蓄積し、ユーザが興味を持つ植物を学習する。さらに、ユーザが見つけた植物の情報を写真とともに地図に追加する機能や、ユーザが勧める見頃の植物の情報を共有する機能なども検討して実現していく。

7.採択理由

普段は気に留めないような道端の名の知らない草花を、TwitterやGoogle StreetViewを活用しつつ種別を認識し、植生マップを作ろうというユニークな提案である。類似サービスもいくつかあるものの、プロジェクトへの熱意と申請者自身の農学・植物学への知見を活かすことで、より魅力的な成果につながることへの期待を込めて採択とした。

更新履歴

  • 2021年6月25日

    2021年度未踏IT人材発掘・育成事業:依田プロジェクト概要を掲載しました。