デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2021年度採択プロジェクト概要(鈴木PJ)

最終更新日:2021年6月25日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 総長補佐・先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 鈴木 湧登(北海道大学 工学部 情報エレクトロニクス学科 情報理工学コース)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • 合気道の体の使い方の習得を支援するソフトウェア群の開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

体格や体力に関係なく相手を制することが出来る武道である合気道は、女性や子供でも大男を投げ飛ばせるところが魅力的で、近年では護身術として人気が高い。合気道の団体では「小よく大を制す」ことが出来るその独特な体の使い方を頻繁に練習する。しかし、その習得には以下のような問題が存在する。

  • 習得すること自体が難しい
  • 指導者に1対1で指導してもらえる時間が少ない
  • 初心者には体の使い方ができているかを自分で判断するのが難しい

本プロジェクトでは、これらの問題を解決する2つのソフトウェアを開発する。

一つはユーザの体の周りに視覚映像を追加することで、合気道的な体の使い方のコツをユーザに素早く掴ませることが出来るMR(複合現実)向けのソフトウェアである。これにより、合気道の体の使い方の習得の難しさを下げること、合気道の指導者がいなくても合気道の習得ができるようにすることを目指す。もう一つのソフトウェアは、筋電センサとスマートウォッチを利用することで、ユーザの体の使い方を評価するソフトウェアで、これによりユーザ自身の動きがどの程度合気道の体の使い方になっているのかを数値的に分かるようにする。

本システムを使用した合気道の体験会を開催することで、合気道に興味を持ってくれる人を増やすだけでなく、合気道の体の使い方を習得することにより、日常生活や介護の負担軽減など、合気道によって恩恵を得る人を増やすことを目指していく。

7.採択理由

空手家を志す少年が、なぜか空手の練習でなく車のワックスがけやペンキ塗りをさんざんやらされ、師匠の真意を測りかねているところ、それらの動作が空手の上達につながったという描写が、かつてのフィクション映画『ベスト・キッド』の中にあった。

本提案はARで表示されたリンゴを持ち上げることで合気道の所作を身に着けるという、映画で描かれた世界を現実にしたような、ユニークなプロジェクトである。そしてさらには合気道で身に着けた動作を、重いものを持ち上げるなど日常生活に活用することを目指した「人間版転移学習」であり、合気道にとどまらない応用を期待し、採択とした。

更新履歴

  • 2021年6月25日

    2021年度未踏IT人材発掘・育成事業:鈴木プロジェクト概要を掲載しました。