デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2018年度採択プロジェクト概要(㑹田PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 稲見 昌彦(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

2.採択者氏名

  • 㑹田 寅次郎(開成高等学校)

3.採択金額

  • 1,728,000円

4.テーマ名

  • ブラウザでも動くブロックチェーンフレームワークの開発

5.関連Webサイト

  • https://github.com/aidatorajiro/SugoiYabaiFramework

6.申請テーマ概要

本プロジェクトでは、簡単にブロックチェーンを含めた分散システムが構築できるフレームワークを開発する。現在、様々な設計のブロックチェーンが考案されているが、それぞれが独自の規格であるため学習コストが高い。また、論文になっているものの開発コストの高さから実際の実装がないものも多い。このような「構想はあるものの開発のハードルが高いために実装ができない」という層を主なターゲットとして、単純な形でブロックチェーンの実装ができるフレームワークを開発する。
本フレームワークは、拡張性・自由度を高くし、様々なプラットフォームに移植できるものにする。同時に、ブラウザでノードが実行でき、マイニングやチェーンの検証・保存が行え、さらにソースコードの改変も簡単にすることで、従来のインストールや実行・改造に専門的な知識が必要で、実質的に開発に参加できるのが一部の人々に限られるブロックチェーンではなく、多くのユーザが改造、自分自身のチェーンの作成、開発への参加、マイニングができるブロックチェーンの実現を目指す。

7.採択理由

ブラウザ上で動作するオープンなブロックチェーンに関するフレームワークの提案である。現時点での技術的な新規性は限定的であり、現在高校生の申請者が世の中に広まるまでプロジェクトを継続できるかという点に懸念はある。しかしながら申請者は中学1年からプログラミングのカンファレンスや学会で活発に発表を行っており、本提案を実現するうえでの発想力と技術力は十二分にあると認められる。特筆すべきは、提案者はプログラミングだけでなく、東京都現代美術館や日本科学未来館などでアーティストとしての展示もしており、第21回メディア芸術祭ではアート部門の新人賞を受賞している。本プロジェクトが当初は想定されていないような表現プラットフォームとして変化することも期待できる。申請者は「新しい世界を作る」気持ちで本プロジェクトに取り組むとしている。新しい世界の片鱗を是非とも眺めてみたい。