デジタル人材の育成
近年、AlexaやGoogle Assistantなどの対話型AIが搭載されたAmazon Echo、Google Homeなどのデバイスが出現し、徐々に我々の生活の中に浸透し始めている。これらのデバイスは、人間との対話を通して指示された動作を行うことができる。加えて、多くのWeb APIやIoTデバイスと連携することで、照明を点灯させたり、ピザの注文ができたりするように、多様な動作を定義、対応させることもできる。
しかしながら、これらのデバイスは少なくとも以下の二点の問題があるため、本来求められるホームAIとしての要件を十分に満たしているとは言えない。
対話指示や事前設定によってのみ動作を行い、自発的に動作を行わない。
パーソナライズが不十分である。
前者の理由の一つとして、基本的な入力にマイクが使われることが挙げられる。これらのデバイスは音声入力を必要とするので、基本的に人間が能動的に操作しなければならない。ユーザが寝ている間や不在時などにおいては、AIが自発的に適切な行動を行うことはできないし、人間の指示がない状態で気を利かせて行動することもない。また、予め決められた動作を行うだけであるため、個人個人の生活リズムや好みに合わせたパーソナライズをユーザによる設定を伴わずに行うこともない。
本プロジェクトでは物体検出、行動認識を用いてユーザの行動ログを収集し、それを用いて自発的に動作するホームAIを開発する。本ホームAIは部屋に設置されたカメラを通して常時ユーザの行動認識を行い、ユーザの状況に応じた自発的な動作を行う。また、解析結果に基づき予測されるユーザの行動に応じて、パーソナライズされた動作を行う。ユーザは能動的に本ホームAIを操作する必要はなく、むしろホームAI側が自発的に気を利かせた動作を行うようにする。
音声(だけ)でなくカメラ映像に基づいて、指示に従う(だけ)でなく自発的に動作するホームAI(例:Amazon社Alexa)を開発する提案である。もちろん、現状のホームAIがこれを行っていないことには理由がある。例えば、誤認識・誤動作への懸念やプライバシーの懸念がある。しかし技術水準や世の常識は変わっていくものである。先を見据えて、何が出来るかを貪欲に追求して欲しい。