デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2013年度採択プロジェクト概要(竹渕PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 首席研究員)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    竹渕 瑛一(神奈川工科大学大学院博士前期課程 情報工学専攻)

3.採択金額

  • 2,304,000円

4.テーマ名

  • 3Dキャラクターのモデルデータを簡単に制作できるシステム

5.関連Webサイト

  • http://sourceforge.jp/projects/mmd-for-unity/simple/

6.申請テーマ概要

昨今、キャラクターの登場する動画やゲームなどのコンテンツが数多く作られている。コンテンツクリエータ、あるいはコンシューマには、オリジナルのキャラクターが登場するコンテンツを作りたいという願望を抱く者が多い。しかし、キャラクターを作るには専門的なスキルが必要であり、一朝一夕で作れるものではない。
そこで本プロジェクトでは、3Dキャラクターを作ること(以降、キャラクター作成と呼ぶ)を容易にさせるシステムを開発する。一般的にキャラクター作成においては、ユーザはスライダーやマーカーなどを使ってパラメータを設定し、その入力に基づいたキャラクターの形状がグラフィカルに表示される。ユーザがスライダーやマーカーでパラメータを変更すると、モーフィングによってキャラクターの形状はインタラクティブに変化する。ユーザはそのような操作、確認作業を行うことで、オリジナルのアバターやキャラクターを作成する。
本プロジェクトでは、このキャラクター作成機能と併せて、キャラクターセットアップ機能を実装する。キャラクターセットアップ機能では、キャラクター作成に必要な形状テンプレートを作成できるようにする。形状テンプレートとは、モーフィングに必要となる、ある頂点をどれほど変形できるかという制約が定義されたものである。
本システムでは、3Dキャラクターを簡単に作ることができるようにすることに加えて、作った3Dキャラクターを動画やゲームなどのコンテンツの素材として利用できるようにする。これにより、プログラマや動画制作者などのコンテンツクリエータが専門的なモデラーの手を借りる必要がなくなり、自分の理想的な3Dキャラクターをコンテンツ上に登場させることが容易になると同時に、3Dキャラクターの不足に悩まされることも少なくなる。

7.採択理由

専門的な知識やスキルが乏しいユーザでも三次元(3D)のキャラクターモデルを手軽に作成できるユーザインタフェースを備えたソフトウェアツールを実現する提案である。
3Dキャラクターは動画コンテンツやゲーム等で幅広く利用されているものの、オリジナルのキャラクターのモデルデータを作成するのは難易度が高く、従来はコンテンツを制作する際にキャラクターの既存のモデルデータを使用することが多かった。そこで、提案するツールでは、体形や表情を選択したり変形したりする操作により誰でも手軽にキャラクター制作を可能にしようとしており、操作の容易さとデザインの自由度の高さをいかに両立するかがチャレンジングである。
竹渕君は、「想像したことが形として実現する世界」を目指しており、そのためにキャラクター形状を手軽に作成できる環境が普及しているべきだという情熱と信念を持っている点が素晴らしい。キャラクターだけでなく服装等を様々なパーツとして作成するためのエディタも開発し、公開して広報活動を開始するところまで計画している点も優れているが、提案内容だけに限定せずに挑戦して、大きな飛躍を遂げてくれることを期待したい。
既に、ゲーム開発用エンジン「Unity」上で3Dアニメーションソフトウェア「MikuMikuDance」のモデルデータやモーションを用いることを可能にする「MikuMikuDance for Unity」を開発した優れた実績を持っており、その経験や知見も活かしながら完成度の高いソフトウェアを実現してくれるのが楽しみである。