デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2012年度採択プロジェクト概要(長尾PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

増井 俊之(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    長尾 俊(東京大学大学院 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 稲村研究室)

  • コクリエータ
    渡邊 翔大(慶応義塾大学 メディアデザイン学科 メディアデザイン専攻)

  • コクリエータ
    若間 弘典(関西学院大学 理工学研究科 情報科学専攻 片寄研究室 博士課程)

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • 超指向性スピーカを用いた実物体音像定位AR

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

インターネットの発達により、検索エンジンやECサイトなど現実の物をバーチャルの世界で扱うことが非常に多くなった。この利点の一つとして、物にメタ情報を付加することができ、フィルタリングをすることでユーザに適した情報を提示できることが挙げられる。しかしながら、現実の物を見たり聞いたり体験したりすることも非常に重要であるのも事実である。本当の価値や感動は本物からしか得られないものである。つまり、両者の利点を兼ね揃えた、現実の物体にメタ情報が付加され、ユーザに適した情報を提示できる世の中が将来のあるべき姿であると考えられる。そこで本提案では、実物体から音声が聞こえる空間分割型の実物体音像定位ARシステムを開発する。
本システムは、超指向性スピーカを使って音声を実物体に反射させて提示しておき、音圧範囲内に入った人のみ実物体から音声が聞こえるようにする。今まで超指向性スピーカを用いたシステムは大掛かりであったが、スマートフォンで対象物を撮影・指定して超指向性スピーカの横に設置するだけで、対象物を追跡して指向音を投射することで対象物から音を簡単に鳴らすことができるようにする。
これによって以下のことが実現される。

  • 誰でも容易に任意の実物体から音声が提示でき、より直観的で豊かな音響空間を表現できる。
  • 指向音を使うことによって騒音環境や密集環境においても的確に音声提示をすることができるうえ、いきなり音が聞こえてくる驚きを与えることができる。

7.採択理由

タグを使ってCGを表示する狭義のAR(拡張現実)が一時話題になったが、見苦しいタグやカメラが必要になるためか本当に実用的な応用はあまり提案されていない。長尾君が提案するシステムは、カメラの代わりに超指向性のあるスピーカを用いることによって音を使ってARを実現しようというものであり、多くの実用的な応用が期待できる。実用的で面白い応用をいろいろ考えてもらいたいと思っている。