デジタル人材の育成
越塚 登(東京大学 大学院情報学環 教授、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 副所長)
チーフクリエータ
鶴田 真也(筑波大学 情報学群情報メディ創成学類2年次、ジセカイ株式会社 デザイナ,エンジニア)
本提案では、ライブパフォーマンスまたはライブストリーミングサービスとの快適な連携、また一般ユーザにおけるコンピュータ、組み込み機器のストレスフリーな操作を実現することを目的とした、「縦空間・レイヤー融合構造」を採用する新しいファイルブラウジングシステムを開発する。
従来のツリー構造に基づくディレクトリ・ファイル構造では、木の枝が分かれてゆくようにディレクトリ階層が掘られ、枝の階層ごとにファイルが配置されていく。別の上階層から派生した枝に移るには、一旦その元階層まで戻らなくてはならず、直接移動することは出来ない。頭の中ではどの分類のこのフォルダの中に次に選びたい曲があると分かっていたとしても、一瞬でその曲にたどり着くことは不可能である。本提案では木構造のディレクトリシステムからの視覚的な脱却を図り、ファイルブラウジング体験の仕組みそのものを見直し、新しい具体案として「縦空間レイヤー融合構造」を採用するファイルブラウジングシステムを構想する。
ハードディスク型の音楽プレイヤが普及する中で、膨大な楽曲コレクションの中から、どのように曲を選んで再生するかということは、これまでも様々なところで課題とされてきた。しかし現状では、まだそれに応える決定版となるようなシステムがあるわけではなく、本提案では、こうした課題にチャレンジしようとしている問題意識は評価できる。
ただし、その問題に対するアプローチとしては、ユーザビリティ等の観点から、現状のiTunes等の一般的な楽曲選択及び再生(演奏)インタフェースに対する優位性を主張するために、クリエータが現状の提案を更にブラッシュアップする必要があると考える。
したがって、本未踏事業期間の中で、更に検討を進める、大量の楽曲を利用して、適切または快適な音楽再生を実現できる、より洗練された、使いやすいユーザインタフェースを開発することが期待される。