デジタル人材の育成
公開日:2024年6月28日
日本では企業と人材(従業員)とのミスマッチによる早期離職率の上昇・従業員のエンゲージメントの低下が深刻な問題となっている。これらの問題を未然に防ぐため、企業は採用活動に真摯に向き合い、マッチする人材(入社後に活躍する人材)を獲得することが求められている。その一方で、現在の日本では企業がマッチする人材を効率的に収集・選考するための採用活動の仕組みが整っていない。
現在の日本における企業の採用活動の問題点は、大きく分けて二つある。一つ目は、採用活動に膨大なコストが掛かる点である。採用活動の各工程の多くは人力で行われており、そのコストは膨大なものとなる。そのため、企業が十分なリソースを採用活動に割り当てられないのが現状である。二つ目の問題は、採用活動の各工程が分断されている点である。採用活動は多くの細かな工程で構成されており、現在は各工程が異なるプラットフォーム上で実行されている。そのため、工程をまたいだ応募者情報の有効活用・採用全体を改善するサイクル構築ができず、企業と人材のマッチ度の予測を困難にしている。
これらの問題点を解決するため、本プロジェクトではAIを活用した統合型採用システムの開発を目指す。このシステムの最大の特徴は、採用の各工程でボトルネックになっている作業を、AIで自動化する点である。各企業が採用にかけるリソースを大幅に削減し、リソース不足による採用の質の低下を防ぐことができる。また二つ目の特徴は、本システムは採用の全工程を同一プラットフォーム上で管理することができる点である。採用の各工程をつなぎ合わせたプラットフォームを実現することで、企業と人材のマッチ度を従来方式よりも高精度で予測するためのAI学習の仕組みを作り上げる。
本プロジェクトは採用活動の各工程におけるミクロな課題をAIによるサポートシステムによって解決し、採用活動全体におけるマクロな課題を統合的プラットフォームの構築によって解決する。企業がよりマッチする人材を多く獲得するのを支援することで、日本企業の国際的な競争力・従業員のエンゲージメントの向上、ひいては日本社会全体の活性化を達成できると、私達は確信している。
人材採用領域は既に様々な業務効率化SaaSが提供されていているが、AI搭載機能はまだまだ活用が限定的。想定される競合等も分析しながら、マーケットの攻め方から逆算した営業マーケ戦略、プロダクト開発などができれば、市場規模がかなり大きいためトラクションを積み上げていくことは可能であると思われる。若くて優秀かつ野心的なメンバーが揃っているので大いに期待したい。
2024年6月28日
2024年度採択プロジェクト概要(山室・松本・奈良・大山・野田・宮沢PJ)を掲載しました。