デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2023年度実施プロジェクト概要(安田・文山・片山・山西PJ)

公開日:2023年6月30日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 石黒 浩(大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻 教授(特別教授)/ATR石黒浩特別研究室室長(ATRフェロー))

2. 採択者氏名

  • 安田 昌平(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻 助教/株式会社Function)
  • 文山 草(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻)
  • 片山 広樹(東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻)
  • 山西 博雅(東京大学大学院情報理工学研究科電子情報学専攻)

3.契約金額

  • 14,400,000円

4.プロジェクト名

  • カメラ映像から自動構築される人流デジタルツインの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.プロジェクト概要

公共空間や商業施設などの多様な人々が集まる空間を対象とし、その流動の解析や予測を行う技術が活発に研究されている。このような技術を組み合わせ、現実空間をコンピュータ上に模擬し、人流の将来予測や施策の効果検証を行えるデジタルツインの実装が様々な領域で期待されている。例えばイベント時の混雑制御や商業施設の広告・店舗配置など、現実空間で検証することが難しい施策を仮想空間上で試行するためのツールとして注目を浴びている。

人流は個人の属性や周囲の環境など様々な要素の影響を受けるため、デジタルツインの構築には様々なチャレンジが存在する。人々の意思決定や流動を記述するモデルの開発はその内の一つであるが、この点については世界中の研究者が活発に取り組んでおり着実に進歩している部分である。しかしながら、デジタルツインを社会に実装する上で依然大きな障壁となっているのは、対象空間を設定するたびに必要となる事前準備・作業の負担の大きさである。例えばどのような観測を用いてモデルを学習させるか、どのような時空間解像度で対象空間や人々の動きを表現するかなど、計算の精度や速度を考慮しながら検討・調整しなければならない事項が対象空間を追加するたびに発生する。人流の予測が必要な空間は多数存在するものの、対象空間を変えるたびに必要となる作業の負担が大きすぎることが、デジタルツインの普及を妨げている要因の1つとなっている。

本プロジェクトの目的は、任意の空間を対象とした人流デジタルツインをカメラ映像から自動で構築する技術の開発である。具体的には、対象空間の特徴量や移動特性の学習を画像認識により行い、その空間の移動特性に基づいてデジタルツインの時空間解像度を設定する独自技術を活用することで、実装・計算負荷を適切に削減した、実用的な人流デジタルツイン構築技術を開発する。これにより、対象空間を設定するたびに必要となる作業の自動化や、異なる空間を対象とした学習結果の共有や連携を可能とし、様々な空間でデジタルツインを活用できる社会の実現を目指す。

7.採択理由

人流シミュレーションの提案。カメラ画像だけを基にして、
リアルな人流をシミュレーションする技術は、今後さらに盛んになると期待されるメタバースや、デジタルツイン環境において必要となる技術になると期待される。
非常事態をシミュレーションすることは難しいと思われるが、年齢や性別などカメラ画像から得られる多様な情報を元にした人流シミュレーションは、購買活動などのシミュレーションには十分に役立つと期待される。
今後さらに盛んになるバーチャル空間の構築に組み込まれる技術となるように開発を進めてほしい。

更新履歴

  • 2023年6月30日

    2023年度採択プロジェクト概要(安田・文山・片山・山西PJ)を掲載しました。