デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2023年度実施プロジェクト概要(亀田・細谷・徳永PJ)

公開日:2023年6月30日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 平野 豊(平野リサーチラボ 代表)

2. 採択者氏名

  • 亀田 晃希(東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻・技術経営戦略学専攻)
  • 細谷 朋生(東京大学大学院農学生命科学研究科生物・環境工学専攻)
  • 徳永 優也(東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻/Polaris.AI株式会社 代表取締役)

3.契約金額

  • 14,400,000円

4.プロジェクト名

  • 既存設備へ適応する、低導入コスト資源ごみ小型AI選別機の開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.プロジェクト概要

日本国内では、一般廃棄物はゴミ収集車で回収された後、ごみ中間処理施設で選別が行われ、リサイクル可能なものは選別後リサイクラーで再商品化される。しかし、国内の多くの中間処理施設では手選別が行われる。手選別は、作業員にスキルが求められる他、危険な異物による事故のリスクがある。また施設にとっても高い人件費や人手不足の課題がある。
しかし、海外メーカーの既存の選別機は存在するが、国内では導入が進まない。理由には、(1)選別機が大型のため、国内の狭い既存施設には導入がしづらい、(2)国内の処理施設にとっては処理速度が不十分、(3)処理施設は収益性が低く、高額な設備投資が困難という要因がある。

我々は国内の施設の環境に特化するため、小型で既存の設備に対してフレキシブルに対応ができるAI自動選別機の開発を行っている。
小型の特性を活かし、多種多様なユニット式カスタマイズ機能をハード設計に取り入れる。既存の施設は選別手順や回収時の分別ルールなども異なるが、このカスタマイズ機能によって柔軟に対応することが可能である。これにより、処理ラインの拡張・大幅変更をせずとも高い処理速度を実現可能にする。そして、長期的な財政計画を立てたい自治体にとっては段階的導入も可能になる。
画像認識技術では、既存の深層学習ベースの物体検知だけでなく、複数の認識手法を組み合わせることで、高精度の認識を可能にする。
加えて我々の画像認識技術を用いたソフトウェアを開発実装し、廃棄物の定量データ化・選別品質管理業務の代行サービスも行う。また、学習機能としてセミオートアノテーション機能を実装予定である。これは、選別機が認識しなかった異物・選別対象を、共働する選別作業員の選別結果を元に、選別機に追加の学習を自動で施すことでそれを可能にする機能である。

我々は、低設置コストでかつ、選別工程の省人化と選別品質の維持・向上の両立を可能にする選別機を普及させることで、国内の静脈産業の収益性アップを実現し、サーキュラーエコノミーの国内普及へ繋げ、日本を資源循環立国にすることを最終目的としている。
未踏事業期間中では、国内のペットボトルリサイクラー・民間の中間処理施設から実証実験パートナーを数社獲得し、プロダクトの無償提供による壁打ちから徐々にお金を出す価値のあるものにまでプロダクトを改善、場合によってはピボットをしていくことで、スケールアップせずにProduct Market Fitを達成することを目標とする。

7.採択理由

ペットボトルリサイクルに着目した低コスト小型なAI資源ゴミ選別機の開発提案。特に日本の小規模で労働集約的な現場での既存競合機が対応できていない課題に対して、独自の機器構成のアイデアや、AIと人の共同作業による課題解決に着目しており、技術的にも社会インパクト的にも未踏性は高い。現場や既存競合機の課題をよく調査した上でシステム要件を提案しており、事業性も高いが、低価格ゆえに数を出さないと収益を出せない構造となっており、事業戦略には一層の工夫が必要と思われる。事業戦略の磨き込みや技術課題の解決法などについて助言していきたい。

更新履歴

  • 2023年6月30日

    2023年度採択プロジェクト概要(亀田・細谷・徳永PJ)を掲載しました。