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未踏アドバンスト事業:2023年度実施プロジェクト概要(小笠原PJ)

公開日:2023年6月30日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 原田 達也(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

2. 採択者氏名

  • 小笠原 淳(株式会社Gifts)

3.契約金額

  • 7,200,000円

4.プロジェクト名

  • 胎児超音波検査の自動化システム開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.プロジェクト概要

妊娠中の胎児状態を推定する手段は限られている。胎児超音波検査は、最も詳細かつ非侵襲的に行える検査手法である。しかし、習得に数年かかり、実施できる産婦人科医の数も検査を必要とする妊婦数に比べると非常に少ないという課題がある。そのため、医療現場の負担は大きく、妊婦も長い待ち時間を余儀なくされている。更に、検査結果は実施者の熟練度によって大きくばらつくという現状もある。これらの問題の根幹は、検査が手動で行われていることにあると考える。

そこで、自宅で妊婦本人が装着・計測できる胎児超音波検査を開発し、得た信号から胎児状態を復元するモデルを構築する。そして、胎児の形態および動態を簡便かつ自動的に評価することを目指す(特許出願中)。得られた胎児のデータは妊婦手元のディスプレイに分かりやすい形で表示される。より専門的な解析結果や、異常値は医療機関にも通知される。

時間や場所、医療機関のキャパシティに関わらず検査を実施することができれば、胎児異常の早期発見が可能となり、早期介入・治療につなげることで周産期死亡や脳性麻痺の発生を防げる。また、産婦人科医がより多くの時間を治療や患者説明に割くことができるようになり、患者満足度が向上する。更に定量的でバイアスフリーの検査が行えることで、将来的には医療格差の抑制や、教育効果の向上が見込める。

未踏事業期間中には、超音波反射像から対象物の3次元構造を推定するアルゴリズムの選定と要件定義、基本設計と実装、評価方法の策定を行う。

7.採択理由

胎児超音波検査は、詳細かつ非侵襲的な検査手法である一方で、医療現場の負担は大きく、検査結果は実施者の熟練度に大きく依存する問題点も存在する。そこで本プロジェクトでは、妊婦自身が装着し計測可能な胎児超音波検査を開発し、さらにその超音波情報から胎児状態を復元する手法の構築を目指す。このような方法論が確立されれば、胎児異常の早期発見、産婦人科医の負担軽減などの多大なる社会的なインパクトを与えることができる。複数の超音波情報から胎児の復元手法の実現は困難ではあるが、その分未踏性は非常に高い。プロジェクトの社会的意義も鑑み、本プロジェクトは未踏アドバンストに相応しいと考え採用と判断する。

更新履歴

  • 2023年6月30日

    2023年度採択プロジェクト概要(小笠原PJ)を掲載しました。