デジタル人材の育成

未踏アドバンスト事業:2020年度実施プロジェクト概要(岡田・井上PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

原田 達也(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

2. 採択者氏名

  • 岡田 直己(大阪医科大学附属病院、株式会社fcuro)
  • 井上 周祐(株式会社fcuro)

3.契約金額

  • 10,000,000円

4.プロジェクト名

  • 救急外傷全身CT診断における「重症度評価装置」の開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.実施プロジェクト概要

高齢化が進行し患者が急増する中、日本では医師不足による医療崩壊が現実味を帯びてきている。救急搬送数の増えた救命現場は既に対応のキャパシティーを超えており、直近では新型コロナウイルスの出現など、不測の事態が生じるとスタッフが病院に泊り込んでも業務が回らない。
本プロジェクトでは、救急疾患の中でも最も緊急性の高い外傷診療において、救命医が多大なる労力と時間を割いている全身CT診断をAIで補助する「重症度評価装置」を開発する。AIモデルの作成に必要となるデータセットとしては、外傷全身CT画像とそれに対応する画像専門医のレポートを用いる。現役の救命医でAIモデルの開発経験がある代表者と、企業でのAIモデル開発経験があるプロジェクトメンバーが、現場の医師と協力しながら学習用データセットを作成し、複数臓器の評価モデルを開発する。開発と並行して評価モデルを現場で試用することで、常にフィードバックを受け、現場に最適な実装を最速で実現する。開発する装置の導入は、CT診断を正確かつ迅速なものにするのみならず、今までCTを読むために割いていた人員を患者処置に当てることを可能とする。少人数でも今まで以上に命を救うことのできるシステムの開発、つまりは医師不足と患者予後両者の改善こそが本プロジェクトの目標である。

7.採択理由

本プロジェクトは、外傷患者のCT画像からAIを利用して迅速かつ正確に重症度を評価するシステム構築を目的としている。現状の救急におけるCT診断は限られた短い時間内に診断を行わなければならないために、見逃しの可能性もあり、患者の生命にかかわる危険性のみならず、救命医への負担も大きく、この問題を情報技術により解決できるのであれば社会的意義は大きいと考える。
また、すでに1400名分のデータを保有し、このデータにラベル付与のめども立っていることもあり、実現可能性も高いと思う。従って、本プロジェクトは未踏アドバンストに相応しいと考え採用とする。