デジタル人材の育成

研修ロードマップとは

(1) 意義

研修ロードマップは、ITスキル標準に対応した教育訓練を実施する際に必要となる研修体系の参照モデルを提供しようとするものです。

個人がITプロフェッショナルとしての実務能力を向上していくためには、自立的に問題意識を持ちながら経験を積み、成果を重ねていくことが基本となります。他方、新たに実務の幅を広げ、経験を重ねていく上では、必要な時点で新たな分野の前提知識を的確に修得していくことが重要です。研修ロードマップは、そうした知識習得を行うための研修モデルを提供します。

(2) 留意点

研修ロードマップは、いわゆるカリキュラムとは違い、教授内容や方法を詳細には示しておらず、研修コースを設計する情報サービス企業や関係者の対応に委ねた構成としています。これは、実践的な研修の設計にはビジネスの実態を柔軟に反映することが求められるためです。したがって、そのため各企業には、自社としてどの様な技術をどの様に伝えていくかに関する青写真が求められています。そうした作業は、研修の設計だけでなく、自社の強み/弱みとなっている技術を客観的に見つめ直す契機としても有効です。

情報サービス企業が競争力を向上していくためには、製造業における研究開発や設備投資と同意義のものとして、人材育成に投資することが重要となります。その施策には、自社人材に対して体系的な研修制度を提供することも含まれます。しかしながら、研修コースを全て社内で内製することは、大半の企業において困難なものです。必要な研修を確保するためには、教育機関や民間研修事業者との連携や、業界団体などを通じた業界内連携を進めていくことも有効です。