デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2023年度採択プロジェクト概要(中神PJ)

公開日:2023年6月19日

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 田中 邦裕(さくらインターネット株式会社 代表取締役社長)

2.採択者氏名

  • 中神 悠太(筑波大学情報学群情報メディア創成学類)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.プロジェクト名

  • RISC-Vベースのプロセッサを自動生成するシステムの開発

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請プロジェクト概要

FPGA(Field Programmable Gate Array)は論理回路を集積したデバイスであり、開発者の要求に応じて自由に配線を変更することができるものである。開発者は、デバイスに搭載された論理回路の規模の制限内において自由に回路を構成することができるほか、実際のハードウェア上に回路を直接構成することから、ソフトウェアによる実装よりも高速な処理を実現することができる。このような特徴から、FPGAは音声処理や画像処理などの分野において、特定の処理を高速に行いたいというニーズに応えてきた。しかし、FPGAを用いた開発はハードウェア・ソフトウェアの両分野における高度な知識・経験が要求されるため、一般的な開発者にとっては敷居の高いものとなってしまっている。

本プロジェクトでは、このようなFPGAに関連する様々な問題を解決することを目指し、RISC-Vベースのプロセッサを自動生成するシステムを開発する。RISC-VのISA設計はプロセッサとして最低限必要な基本命令を軸として、目的に応じて拡張命令をユーザが自由に選択して実装できるという、カスタマイズ性に優れた設計となっている。本プロジェクトでは、この設計を利用することでプロセッサを自動生成する仕組みを実現する。具体的には、プロセッサコアとコプロセッサという2つの概念を導入し、ユーザがこれらを自由に組み合わせることによって目的のプロセッサを得る仕組みを実現する。また、これに合わせ、生成したプロセッサ上で動作する専用の制御ソフトウェアを開発し、ユーザに提供する。プロセッサの自動生成および専用制御ソフトウェアの組み合わせにより、高度な知識・経験などをもたずともFPGAを用いた開発を行える世界を実現する。

7.採択理由

本プロジェクトでは、FPGAを使うにあたっての学習コストや設計の難しさなどを低減させ、簡単にFPGAの恩恵を受けられる開発ソフトウェアと制御ソフトウェアを開発するものである。

FPGAは、そのデバイスの規模の範囲内で自由に回路を組み替えることができ、音声処理や画像処理などの分野において、CPUよりも高い性能を発揮することができるが、回路の構築や設計などに対する高いスキルを必要とするため、利用のハードルが高い。そのため本プロジェクトでは、FPGA上にRISC-Vをベースとしたプロセッサをコアとして、そこにユーザに応じたコプロセッサを自由に配置し、CPUでは実現できないような機能性を持つプロセッサを簡単に生成できるようにすることで、ユーザが必要とする機能を実現しようとする。

すでに同様の先行研究はあるが、今回のアプローチのように個人開発者を対象として、簡単にプロセッサの生成を行うというアプローチは新しく、未踏性があるものと考えて採択した。

更新履歴

  • 2023年6月19日

    2023年度採択プロジェクト概要(中神PJ)を掲載しました。