デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業:2022年度採択プロジェクト概要(大神・奈良・天野・今宿PJ)

最終更新日:2022年6月20日

1.担当PM

  • 首藤 一幸(京都大学 学術情報メディアセンター 教授)

2.採択者氏名

  • 大神 卓也(東京大学 工学部電子情報工学科)
  • 奈良 亮耶(東京大学 工学部電子情報工学科)
  • 天野 克敏(東京大学 工学部電気電子工学科)
  • 今宿 祐希(東京大学 工学部電子情報工学科)

3.採択金額

  • 2,736,000円

4.テーマ名

  • 麻雀プロのためのAI牌譜解析ツール

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

近年、ゲームAIの成長は著しく、将棋や囲碁などのプロがAIを利用して勉強することが一般的になってきている。一方、麻雀にもAIを用いたネット麻雀用の学習ツールが存在するが、プロにはあまり浸透していない。

原因は主に2つあり、1つ目は既存の麻雀AIがネット麻雀のルールに特化しており、ネット麻雀と順位点(1着から4着がもらえる点数)の配分が異なるプロの試合の一般的なルールで使用することが難しいこと、2つ目は麻雀プロの多くが、自身のフィールドはネット麻雀よりレベルが高いと考えているため、ネット麻雀のデータを教師とした既存の麻雀AIを、あまり高く評価しない傾向があることである。

本プロジェクトでは深層強化学習を用い、順位点の配分を入力に加えた報酬関数を設計することで、ネット麻雀のルールだけでなく、プロの試合のルールなど様々なルールに対応可能な麻雀AIを作成する。強化学習を用いることで、ネット麻雀のデータに依存する必要がなくなるため、プロへの普及のための障壁が少ない。

そして、作成した麻雀AIを用いた牌譜解析サービスを作成することを目指す。このサービスが実現すれば、麻雀プロをはじめとした、麻雀に真剣に取り組む人の勉強が効率化される。運の要素が大きい麻雀では、麻雀プロの実力の正当な評価さえ難しく、理不尽な批判を受けることも多くある。人間のトッププレイヤーと同じ土俵で人間を超える麻雀AIが作成できれば、将棋などと同様にAIとの判断の一致率などの指標で麻雀プロの実力を測ることが可能になり、麻雀が将棋や囲碁などと同様に知的ゲームとしての地位を確立する一助になるはずである。

7.採択理由

将棋の世界ではこの10年で対戦プログラム(以下、AI)がプロ棋士をも凌ぐようになり、プロ棋士が研究のためにAIを活用する時代となった。一方、麻雀の世界は、プロ雀士がAIを活用して研究する状況には至っていない。理由はいくつかある。このプロジェクトはそれらの課題を克服し、プロ雀士が本気で活用する麻雀AIを作り上げる。

そうした麻雀AIは、ともすると運次第に見えてしまう対局においても、雀士の腕のほどを理由を添えて示してくれることだろう。また、プロだけでなく、一般の愛好家が上達するための強力なツールともなり、競技としての麻雀の理解と普及を促進する。

プロの使用に耐える強い麻雀AIを作ること、それに加えて、対局の研究に活用し得るツールに仕立てること、という二重にチャレンジングなプロジェクトである。

更新履歴

  • 2022年6月20日

    2022年度採択プロジェクト概要(大神・奈良・天野・今宿PJ)を掲載しました。