デジタル人材の育成
越塚 登(東京大学 大学院情報学環 教授、YRPユビキタス・ネットワーキング研究所 副所長)
チーフクリエータ
藤田 琢磨(同志社大学大学院 理工学研究科情報工学専攻)
昨今、焼肉店や寿司店、居酒屋などでタッチパネルを使ったメニューの注文方式が導入されてきている。タッチパネルへの移行のメリットとして、店側は人員削減、注文ミスの防止などの面がある。客側のメリットとしては店員を呼ばなくてもよい、スムーズな注文、追加注文がしやすいなどの面がある。加えて、近年AndroidやiOSの登場により、多くの人がスマートフォンをはじめとする携帯情報端末を所有する時代を迎えており、Near Field Communication(以降NFC)といった近距離無線通信技術を用いた携帯情報端末向けのソリューションが展開しつつある。例えば、NFCで用いられるICタグに対してスマートフォンをタッチすると、あるスマートフォンアプリケーションが起動し、その上でサービスが実行されるようなものがある。これはこれまでのボタンを押すといった動作ではなく、タッチという動作が新たなトリガとなっている。
本プロジェクトでは、店側で設置する座席のICタグと客であるユーザが所有するスマートフォンとを近距離無線通信技術を用いて連動させる、次世代のメニュー提示・注文システムを開発する。携帯情報端末に保存されたユーザの性別や年齢、食べ物の好き嫌い、アレルギー、よく食べているものなどのユーザ個人の情報を利用し、メニューが動的に変化するような次世代メニューシステムを開発することで、ユーザ個々の嗜好や目的に合ったメニュー提示が可能になると同時に、店側にとっても販売活動の促進が期待される。
本提案は、飲食店などで、利用者(顧客)のpreferenceに応じて自動カスタマイズされた注文メニューを提示するシステムである。特に、チャレンジングな技術を実現しようというものではないが、クリエータの実生活体験にも根ざしているとも思われ、地に足のついたアイデアと発想だと考えられる。システムの規模や難易度的にも、クリエータが未踏期間の短期間で開発を完了することが可能そうである。非常に実用性も高く、飲食店以外でも、様々なバリエーションと展開が考えられる。未踏事業終了時には、サービスインできることも目指して、実用性の高いサービスを開発することが期待される。