デジタル人材の育成
加藤 和彦(筑波大学 大学院システム情報工学研究科 教授)
チーフクリエータ
弥富 豪宏(株式会社コーエー(休職中))
コクリエータ
なし
多人数参加型オンラインゲーム(以下MMO)の開発および運用を対象に、そこで要求されるシステム上の要件をスケーラビリティを失うことなく満たすことのできるPaaS(platform as a service)の実装と、サービスの提供を行うことを提案する。また、同時に、このプラットフォームの上でのMMOの開発をいままでよりずっと簡単にするような工夫を行う。
これにより、MMOの開発・立ち上げコストが大幅に軽減され、MMOの開発者がアイデアを具現化しやすい環境が実現することで、MMOサービスの多様化を達成する。
MMOがPaaS上で提供できるということは、SecondLifeのような仮想世界もPaaS上で提供できるようになるため、サービスの提供者が自由にコントロールできるような仮想世界を、PaaS上に構築して短期間だけ利用することがコスト的に可能になる。これにより、現実世界における音楽ライブイベントのような、仮想世界を使った新しいビジネスモデルの創出や、ウェブ広告の一部としての仮想世界の利用を促進することができると考えている。
現在、実用に供している多数参加型オンラインマルティメディアシステムは数10~数100台規模のコンピュータシステムを必要とし、大きな初期投資を必要とする。このため、冒険的な開発を行いにくく、資本を持たない者は開発に参入しにくいという傾向をもつ。本研究開発は、クラウドコンピューティングの一形態であるPaaS (Platform as a Service)に着眼し、多数参加型オンラインマルティメディアシステムのためのPaaSを作ろうとするものである。この開発が成功すれば、一つのコンピュータプラットフォーム上に複数種類のオンラインマルティメディアシステムを同時に稼働させ、実験的な稼働を行ったり、ユーザ数の変動に応じてコンピュータ資源の割り当てを動的に変更していくことが可能となる。当開発者は、これまでに大手マルティメディア企業にてオンラインマルティメディアシステムの豊富な開発経験を有しており、これまでの経験をもとに、既に相当に具体的方式設計を行っている。以上から、採択に値する提案であると判断した。