デジタル人材の育成
加藤 和彦PM(筑波大学 大学院システム情報工学研究科 教授)
チーフクリエータ
柴山 直樹(東京大学 修士課程)
コクリエータ
なし
近年便利なインターネットアプリケーションが多数出ているが、ネットワーク遅延や切断による不安感がある。またモバイル環境においても、インターネットを介したアプリケーションは”サクサク動く”体験を与えられるものは少ない。このような問題に対処するため、インターネットアプリケーションにおいてローカルリソースを適切に扱えるように変更したDesktop Rich Internet Application用の基盤技術が発達してきた。しかし、既存のインターネットアプリケーションフレームワークはこれらの基盤技術のメリットを生かしていないため、サービスにもメリットが反映されないことが多い。
そこで本提案では、既存のインターネットアプリケーションフレームワークを拡張し、Desktop Rich Internet ApplicationのひとつであるAdobe AIR向けの開発フレームワークを提案する。
提案フレームワークでは、インターネットアプリケーションに一般的なクライアント・サーバ間でのObject/Recordマッピングパターンを拡張し、アプリケーションオブジェクト・ローカルデータベース・サーバデータベース間での二段階マッピングパターンをモデル化することで上記の問題に対処する。
Adobe AIR環境上において、ローカルRDBへのマッピング機能を有するORマッピングのフレームワークを構築するという提案である。これにより、オンラインサービスのオフライン利用が可能になる。
興味深いのは、サーバ(クラウド)側にはスケーラブルなRDBサーバの存在のみを仮定し、クライアント側でアプリケーション実行とローカルRDB保持を行うというシステムモデルにより、クラウド側のサーバ負担を簡略化している点である。これにより、スケラービリティにし易く、かつ、ユーザビリティおよびアベイラビリティの高いクラウドコンピューティングを実現する可能性を有する。
通信とサーバ負担の軽減によりグリーンITに貢献することが期待できる。実現のためのスキル、および、提案実現のための準備も十分に行われていると判断できる。