デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2008年度下期採択プロジェクト概要(長嶺PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 安村 通晃(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ:長嶺 貴一(神戸大学大学院工学研究科情報知能学専攻)
    コクリエータ:田中 俊彰(神戸大学 工学部情報知能工学科)

3.未踏ユースプロジェクト管理組織

  • 株式会社ゴーガ

4.採択金額

  • 3,000,000円

5.テーマ名

  • アプリケーション領域の拡大に向けたMashupフレームワーク

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

現在,多くのWebサービスが公開され,それらを利用したマッシュアップが盛んになってきている.また,マッシュアップアプリケーションを簡単に作成するためのフレームワークなども登場してきており,開発者でない層にも広がりを見せつつある.
しかし,現在これらの非開発者向けのフレームワークでは作成が難しいアプリケーションも存在している.
例えば,アプリケーション利用者の様々なニーズに応えるために,多種の情報を組み合わせて表示するようなアプリケーションを作ろうとすると,既存のものでは大きな通信コストがかかり,実用的でなくなってしまう.
また,既存のフレームワークではマッシュアップの手順を共有化する試みは多くなされているが,アプリケーション内のデータを簡単に共有する仕組みは提供されていない.例えば,マッシュアップを用いた作成したホテル検索アプリに,グループ間で選択したホテルやコメントを共有するといった機能を付け加えることは難しい.
そこで,マッシュアップアプリケーションの領域拡大を目指し,利用者の閲覧方法に合わせたインタラクティブなデータ構築と,容易なデータ共有をサポートしたマッシュアップフレームワークの開発を行う.
フレームワークは,ブラウザ上で動作するマッシュアップ実行エンジンと,アプリケーションの作成環境,および簡単にデータ共有を実現するためのレポジトリWebサービスで構成する.
フレームワーク利用者は,作成環境を用いてデータの組み合わせ方と表示方法を指定するだけで,マッシュアップアプリケーションを作成することが出来る.実行時には,実行エンジンが閲覧にあわせて順次データを構築することで無駄なコストを抑える.
また,レポジトリWebサービスをフレームワークから用いることで,テンポラルなデータ共有を容易に実現にする.

8.採択理由

Web2.0の登場以降、さまざまな既存のWebサービスやアプリケーションをうまく統合して、新しい機能をもつアプリケーションソフトウェアを簡単に作る仕組みとしてMashupが注目されている。
しかし、この「簡単に」という部分が非常に曲者で、APIを良く理解して、うまく統合しないと、思った通りのソフトは、そう簡単には作れない。今回の長嶺君と田中俊彰君の提案は、このMashupの作業をいくらかでも低減させるようなフレームワークを作り提供していこうというものであり、未踏のソフトウェアとして意義は高い。しかもごく簡単なプロトタイプは作成済みなので、未踏期間中に充分な成果を挙げてくれるものと期待している。
提案システムでは、ブラウザ上で動作するデータ関係を記述するマッシュアップ実行エンジン、モデル化と表示を定義するアプリケーション作成環境、データ共有のためのレポジトリWebサービスの3つの部分からなる。
今回作成するMashupフレームワークにより、どのような種類のMashupがどういった使い勝手でできるようになるのか、という点を意識しながら、開発を進めていってもらいたい。