デジタル人材の育成
本提案では、身体動作と音楽表現を従来とは全く異なる手法で結びつける新しいデジタル楽器の開発及び既存曲演奏支援技術の開発を行う。
このデジタル楽器は、従来のような身体測定のためのセンサーを身体に装着することなく、レーザーレンジファインダーと呼ばれるセンサーを用いて身体動作、特に足の動きを高精度でセンシングし、音響を生成する。演奏者は今までのインターフェースでは成し得なかった半径4mものの非常に広大な操作範囲の中で、自由に身体を動かし複数人で演奏することができる。
また、楽器としての表現力を高めるためにレジストレーションを搭載し、ユーザーが入力した曲情報に基づいて、楽器の音色や設定を時系列に沿って変更できるようにする。レジストレーション機能は、今回開発するデジタル楽器とはまた違う、別のパソコン上からのソフトウェアによって、設定できるようにする。
そして、このような広大な操作範囲の中で、演奏者に対してどの位置に身体を移動すれば良いのか適切に位置を指示する必要がある。そこで、レジストレーション機能と同期して位置を指示するガイド機能を搭載する。
最終的に、演奏集団を構成し、実際にパフォーマンスを行い、身体動作と音楽表現を結びつけた新しい芸術表現を提示する。
幼なじみの二人組。一人はITの新展開に興味をもち、他方は音楽にハマっている。なかなか興味引く組合せの二人組による提案である。
複数人で飛んだり跳ねたりうまく協調動作を行なうことで音楽演奏ができるデバイス Beacon を試作している。簡単なデモをやってくれたが、新しいグループ活動を創成する新楽器の誕生を予感させるものであった。
提案のプロジェクトは、Beaconでの経験をもとに、演奏者(演技者?)に対するガイド機能と、より的確な演奏者動作のセンシングを持たせた装置に仕上げることと、ガイド等を設定するためのシステムを組み込むことを目標としている。
この新装置の価値を示すために、演奏団を組織して2ヶ月以上の練習も行なって成果発表に望むという。もちろん、その練習に合わせて新装置・新システムの評価・改善を行っていく。出来上がる「新楽器」とその「演奏」の面白さは、今から楽しみである。加えて、開発するソフトウェアには相当の工夫が求められる。この二人組なら、それを乗り越えてくれるものと期待している。