デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2008年度上期採択プロジェクト概要(木村PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 安村 通晃(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ:木村 広希(筑波大学大学院システム情報工学研究科 博士前期課程)
    コクリエータ:なし

3.未踏ユースプロジェクト管理組織

  • 株式会社創夢

4.採択金額

  • 3,000,000円

5.テーマ名

  • 気圧配置の自動分類・検索システムの開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

テレビや新聞の天気予報において、気圧配置というものをよく目にする。この気圧配置とは高気圧と低気圧の分布状況を意味するものである。「冬型の気圧配置が強まると、強い風が吹き込み非常に冷え込む」という気象現象は有名なものの一つである。
ここで、このような気象現象についての研究に着目してみると、研究者たちには悩ましい問題がある。
研究者が研究を行う際に、ある特定の気圧配置の事例を多数必要とすることがあり、このとき彼らは、数十年分の過去のデータの中から必要なデータを探す。これはつまり、各データがそれぞれ必要とする気圧配置であるかを一枚一枚判別し、分類することを意味する。この気圧配置の分類は、私の知る限り、現状では全ての研究者が目視による判別で行っている。そのため、必要とするデータの数が多いほど、この目視による判別という作業は過酷なものとなる。
そこで、この作業の負担を軽減すべく、気圧配置を自動で分類し、検索できるシステムを開発する。

8.採択理由

気象予報ほどコンピュータの計算力が発揮できるものは無いだろうし、実際、数値計算や高速演算の対象としては気象予報は典型的な応用の一つであった。ところが、現実の天気図が西高東低とか梅雨型である、などという分類は人手で行われてきたそうだ。
これを、コンピュータを用いて自動分類し、気象学の研究に活用しようとするのが、本開発の提案内容である。これは、まさにコロンブスの卵、ともいうべきプログラム開発の提案であって、なんでこのようなことに今まで気付かなかったのであろう、という思いが強い。
これは、分類問題なので、SVM(サポートベクターマシン)の方法が効果的なアプローチである。しかも、これまで、1981年から2000年までの分類済みのデータを使うこともできるという。いったんコンピュータで分類した結果で、曖昧性が残るものに関しては、人手で分類して、その分類精度を向上させるという、確実な方法を採る予定である。さらに、個人毎の分類結果も登録し、個人差を比較するような内容まで含んでいる。気象関係に詳しい研究者の協力も得られるそうで、開発の成果が大いに期待できる。