デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2008年度上期採択プロジェクト概要(古平PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

  • 安村 通晃(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ:古平 晃洋(電気通信大学大学院博士課程前期2年)
    コクリエータ:なし

3.未踏ユースプロジェクト管理組織

  • 株式会社メルコホールディングス

4.採択金額

  • 3,000,000円

5.テーマ名

  • インテリジェントカードデバイスを用いた統合管理インターフェイスの開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

時代は、情報を媒介としてあらゆるものを結ぼうとしている。
それは計算機同士だけにとどまらず、あらゆる電子製品を結びつつある。
同時に、人間が電子製品に対して情報を与え操作しなければならないことを示している。
本提案では新しいインターフェイスを使用することで直感的且つシンプルな操作によってそれらをコントロールすることを目指す。
実装としてはソフトウェア、ハードウェア双方の面から見直す。
まず、シンプルに操作するためには従来のようなボタンだらけのインターフェイスではなく、直感的な操作性、可搬性という特徴を併せ持つインターフェイスとしてカードタイプの物を使用する。
カードにはいくつかのセンサが実装してあり、カードを回転したり、振動させたり、重ね合わせる等のあらゆるアクションを検知する。
これらの情報はワイヤレスモジュールを通してホストマシンに渡される。
ソフトウェア側の実装としては、カードに「ハードウェア」、「ソフトウェア」、「データ」を関連づけ各アプリケーションをコントロール、ハードウェアに対して命令を出す物を作成する。
また、視覚的なフィードバックを得るための機構をソフトウェア側で実装する。
ごく簡単な具体例として、特定のページを閲覧しているデジタルカメラーカードをプリンタと関連づけられたカードに重ねた場合、表示されている画像がプリンタから印刷されるというものである。
このようにして、オブジェクトをカードに関連づけて各操作を実行するのが本提案の核である。
このシステムによって、ユーザーがソフトウェア、データ、ハードウェアを区別なく扱うことをサポートし、それらを直感的なインターフェイスを用いてコントロールしたり組み合わせたりする事を可能とする。
これによって、インターフェイスの面からディジタルデバイドを解決する。

8.採択理由

家電操作をカード型のデバイスの操作で行おうという提案。カードそのものを現在試作中であり、また、カードを回転させたり、重ね合わせたり、振動させたりなど、操作する点が面白い。将来の家電操作のプロトタイプとなる可能性もある。
開発中のカードには、浮遊容量センサー、加速度センサー、コンパス、ジャイロといったセンサー類と振動モーター、AR(Augmented Reality)用表示、LED、スピーカーなどの出力も備えているが、すべてこれらが必要かどうか良く検討する必要があるだろう。特に、カードの重ね合わせや回転などといったシンタックスにどのようなセマンティックスを付与するかも重要な検討項目である。 テレビのリモコンがカバー程度の簡単な操作や逆にビデオ録画のような複雑な操作のどちらもこのカード方式で対応するのが難しいかも知れない。そうだとすると、このカード型で対応可能な操作や機能がどんなものか、実証的に明らかにしていってもらいたい。 なお、今回オーディション時に、本人は留学中であったが、わざわざオーディションを受けるためだけに一時帰国してきた。この心意気を買いたい。ぜひとも、当初の目論見を満たすプロトタイプを完成して貰いたい。