デジタル人材の育成
本提案は、webカメラでロボットの動作を撮影し、ロボットの動作を止めることなく動いているロボットのモーションをすぐに修正出来るモーションデザインツールを開発する。
近年小型のヒューマノイドロボットがエンタテイメント向けに多数発売されている。ロボットを動かす場合、ロボットのモーション作成をする必要があるが、このモーション作成は発売されているロボットに付属しているソフトウェアで行われることが大半である。このソフトウェアにより初めてロボットを触る人でも簡単にロボットのモーションデザインが出来るようになったが、モーションの確認に手間がかかる点や、思い通りの動作を入力することが難しい点が問題点として残っている。本提案は、その問題点を解決し、より使いやすいモーションデザインツールの開発を提案している。
提案内容としては、まずロボットを1軸のベルトコンベアの上で歩かせる。するとロボットはその場に留まり周期動作を繰り返すようになる。これによりwebカメラでロボットの動作を監視出来るようになる。ここで、ロボットの動作周期に合わせてwebカメラで静止画像を撮影して表示すると、周期動作中のあるひとつの姿勢だけを画面に表示しつづけることができる。webカメラから静止画像を取り込むタイミングをPCにより指示することにより、「足を上げる」、「足を踏み出す」など特徴的な姿勢を抽出する。この抽出した動作の関節角度を修正することにより、動いているロボットのモーションをすぐに修正することが可能となる。
本提案により、ロボットのモーションデザインは、より簡単で、より便利なものとなる。エンタテイメント分野でのロボットの活躍の場を広げると共に、ホビーとして家庭に普及させることで、ものづくりに対する興味・関心を喚起するなどの効果が期待できる。
自立型二足歩行ロボットが比較的簡単に手に入るようになった。しかし、その先が難しい。二足歩行させるには、ロボットを制御するソフトウェアの調整が必要になる。ところが、自立型であるが故に、コンピュータで開発したソフトウェアをロボットにダウンロードし、試験動作させる。不具合を直すのには、コンピュータに戻って変更を施し、ダウンロードし試験動作させる、という反復を行わなければならない。
ロボットのハードウェアは、実動作のレベルでみればそれぞれに個性をもつ(ぐらいに、差異がある)。どうしても、試験動作による調整が必要になる。電子回路なら、シンクロスコープをつないで試験動作させ、必要な調整部品を動かして調整が可能である。ロボットにもシンクロスコープがあるといいのに。
そこで、ロボット用のシンクロスコープを作ってやろう、というのがこのプロジェクトである。同じ動作を定位置で反復して行う、というのがシンクロスコープの原理である。ロボットなら、同じ場所で二足歩行を反復して行えればいいではないか。そこで、短距離のベルトコンベアを用意し、その上でロボットを二足歩行させ、その動作をビデオカメラでとらえてコンピュータに取り込めば、まさにロボット用シンクロスコープができ上げる。
いうはやさしくても、実際にこれを使い物になる形で実現するのは、ハードウェアももちろん、取り込んだ動画をうまく料理してロボット制御の調整につなげためのソフトウェアも、また、そうした調整を可能とするロボット制御プログラムそのものも、それ相当に難しい課題である。提案者は、ロボットそのものの扱いには慣れている。その経験を生かして、未踏ユースの期間内に実用化のめどがたつプロトタイプに挑戦する。道は平坦ではないが、提案者の意気込みと経験とで乗り切ってくれると期待する。