最終更新日:2020年6月26日
急速な大衆化が進んでいるバーチャルリアリティ(VR)の応用の一つとして、ネットワークを介して複数人が同じVR空間を共有し、コミュニケーションを行うシステムが複数登場している。しかし、それらの多くは一企業の運営するプロプライエタリなオンラインサービスであるか、オープンソースであっても拡張性に限界のある場合が多い。したがって、単なるコミュニケーションツールを超えた「もう一つの現実」を実現するインフラとしては不十分である。
そこで本プロジェクトでは、
オープンソースであり、誰でも機能拡張やサーバの開設が可能である。
VR空間内の物体をユーザの作成したプログラムで制御が可能、機能の異なるクライアント同士の相互運用が可能である。また、自動化されたbotと人間を区別しない。
ビジネス等にも利用できるよう、通信は暗号化される。また悪意のあるプログラムや悪質な改造クライアントへの耐性がある。
という3つの特徴を持った、オンラインで複数人が同時利用可能なVRシステムを開発する。
これらの特徴を実現するため、本システムでは暗号通信を用いてクライアントやサーバの間でVR空間内のアバタや物体の状態を同期する。また、サンドボックス化されたプログラム実行環境を組み込むことで、セキュリティを維持しながらVR空間内の物体を制御可能とする。さらにプログラム制御の例として簡易的なオンラインゲーム、クライアント拡張の例として触覚インタフェースを実装する。
複数人がインタラクションできるVR空間を手軽に用意できるソフトウェアを開発する。オープン、柔軟、セキュアであることを大切にする。
VRChat, Cluster, Neos VR, Mozilla Hubs, JanusXRといったVRサービスやサーバソフトウェアがある中で、どういった魅力や特徴を出していけるかはまだわからない。田中君のVR空間創造欲、いわばある種の世界創造欲はとても強く、何かしら独自の仮想世界を作り上げてくれることは確信している。
2020年6月26日
2020年度採択プロジェクト概要(田中PJ)を掲載しました。