デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2010年度採択プロジェクト概要(中村PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ長)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    中村 裕美(明治大学大学院)

  • コクリエータ
    なし

3.採択金額

  • 1,792,000円

4.テーマ名

  • 電気味覚を活用した新たな食物コンテンツの提案

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

本テーマでは、電気刺激が舌に与えられた際に感じることの出来る電気味覚なるものを活用し、食物を新たなコンテンツおよびメディアとして提供することを提案する。

飲食物に電気を流し、舌に触れさせることで電気味覚を与えられることを活用し、電解質を含んだ飲料に電極つきストローをさし“電気を飲む”インタフェースと食べ物に電極をさした“電気を食べる”インタフェースを提供する。

その上で、食物の味の変化を自由に調節できる『電気味覚編集ツール』を提案・構築し、時系列データのように味の調節を行えるようにするとともに、調節した電気味覚パターンを配信出来る『味覚配信』の基盤を作り上げる。

本テーマの提案・実装により料理とは違う側面で味覚に訴えるコンテンツを生成することが可能となるため、従来と異なる新たな食物の味わい方を広く社会に提案できることとなり、よりエンタテインメントの要素として楽しむ環境が生まれると考えている。

7.採択理由

通常の食材や飲料を飲食する際に、電気を流すことで、「電気味覚」と呼ばれる新しい味覚体験を与える提案である。「電気を飲む」「電気を食べる」ためのデバイス・インタフェースの開発だけでなく、時系列データのように味を調節する『電気味覚編集ツール』を実現し、さらには、調節した電気味覚パターンを配信出来る「味覚配信」を可能にするという点が斬新で面白い。それを「電気の調味料化」と名付け、21世紀の調味料にしたいという野心的な取り組みである。安全性も専門家に相談して確保することをきちんと考えているのが素晴らしい。

中村さんは、「電気を飲む」とどうなるかを面接時にPMに試作デバイスで体験させ、大きなインパクトを与えると共に、これを単に作品作りや実験で終わせることは全然考えておらず、広く使えるツールとして展開する意気込みを語ってくれた。単なる「面白い」を越えた、「おいしい」味を本当に実現できるのか、時系列データとしての味の調整でどこまでバリエーションを創り出せるのか、味覚配信は果たして可能なのか、またその再現性や個人差はどの程度あるのか等、挑戦すべき課題は尽きそうにない。それだけチャレンジングで挑戦しがいがあるということであり、中村さんが持てる力をすべて注ぎ込んで、野心的に展開してくれることを期待したい。