デジタル人材の育成
安村 通晃(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)
チーフクリエータ
中川 真紀(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科 理学専攻情報科学コース)
コクリエータ
なし
いつまでも若々しく、美しくいたいというのは、多くの女性の願いである、その中でも特に、美しい肌を守りたいと考えている女性は多い。多くの化粧品会社ではキメやたるみなどの肌状態の評価方法の研究やスキンケア製品の開発研究に取り組み、次々と新しい技術や製品を作り出している。一方、美しい肌を保つことには生活習慣が大きく関係しているが、こうした生活習慣を総合的に管理するアプローチはあまりなされていない。そこで私はライフログ的な手法を使って美肌に関係する生活習慣や自然条件を計測・記録し、それらをもとに美容の専門家がユーザに最適なスキンケア方法やスキンケア商品を提案する新しいビジネスモデルを提案する。
本提案では、美肌に関係している生活習慣や自然条件を計測・記録する「美肌チャーム」と、その情報をもとにスキンケアのアドバイスをする「スキンケアアドバイスシステム」を提案する。この提案モデルを利用する利点を以下に示す。
ユーザ側
美肌のためには大切だと分かっていても面倒で続けることが難しかった肌ストレスの計測や記録を簡単な作業で行うことができる。また、今まで店頭にわざわざ出向かなければ受けることのできなかったプロのアドバイスを家にいながらにして簡単に受けることができる。つまり、今まで面倒で難しかった本格的なスキンケアを、毎日簡単に行うことができる。
企業側
多くのユーザの肌状態を簡単に管理することができる。また、美容の専門家が行うスキンケアアドバイスの際、普通ならユーザに店頭に出向いてもらわなければできなかった商品の詳しい説明や宣伝を行うことができる。
女性が化粧の中でもっとも重要視するのが肌であるという。肌をふだんからちゃんと手入れをして良い状態に維持し続けている人とそうでない人との「美容格差」が大きい。この美容格差の解消のために、美肌チャーム(肌ストレスロガー)というデバイスを開発し、その美肌チャームを使い続けて、美肌の維持向上を支援しようという提案である。
開発者の身内が化粧品会社に勤務で、美容の専門家であり、協力が得られることを前提にしている。測定したデータと肌ストレスとの関係は、人間(美容の専門家)が判断する。スキンケアには、マイクロスコープで肌を撮影し、メールで転送する。美肌チャームは、紫外線、湿度(乾燥度を知る)、体温(ホルモンバランスを知る)、および睡眠時間が測定可能な小型デバイス。
電池やデバイスの小型化などのハードウェア上の課題もあるが、美肌データをライフログとして取り続けて、実際の肌との関連を明らかにする必要があるので、最初の試作機を未踏期間中の比較的早い時期に稼働可能にしておく必要がある。期待が高いプロジェクトの一つであり、いい成果を出してもらいたい。