デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(ユース):2009年度上期採択プロジェクト概要(川内PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

安村 通晃(慶應義塾大学 環境情報学部 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    川内 見作(東京大学大学院 学際情報学府 総合分析コース)

  • コクリエータ
    なし

3.未踏プロジェクト管理組織

  • 株式会社メルコホールディングス

4.採択金額

  • 2,861,000円

5.テーマ名

  • WiFi室内環境位置推定技術の開発

6.関連Webサイト

  • なし

7.申請テーマ概要

反射に影響されないDirectional Beaconing方式と、受信した電波から作られたフィンガープリントを用いて室内位置推定を行う新たな手法を提案する。

室内でのWiFi位置推定は、電波が建物の壁にぶつかり反射・減衰することで計算に誤差が生じる。その結果、推定精度が落ちる。室内は壁が多く存在し、反射や減衰に強い推定手法の提案が必要である。

Directional Beaconing方式は、指向性アンテナを回転させ放射角情報をビーコンパケットに埋め込み発信し、WiFiモバイルデバイスが埋め込まれた角度情報より位置推定する手法である。角度情報と電波強度の両方を用いることで、反射による誤差が生じにくい。また、WiFiモバイルデバイスに新しいデバイスを追加することなく利用することができる。

現在、Directional Beaconing方式で使用するアクセスポイントを試作し妥当性を検証している段階である。

8.採択理由

ユビキタスコンピューティングの研究開発で、室内の位置検出が課題となっている。非常に高価なシステムはいくつかすでにあるが、あらゆる室内に置こうとすると、コストの低減は極めて重要である。

今回の提案は、多くのWiFiアクセスポイントを置く代わりに、双方向ビーコニング(指向性のアンテナを回転させる方式)を用いて、アクセスポイントの数を減らそうというものである。屋外では簡単な実験をすでに済ませている。屋内では反射があるがそれがかえって効果的だという。しかも、部屋の構造を予め知っておく必要は無いことは良い。

回転させることで位置検出までに時間がかかる。またキャリブレーションの手間はどのくらいになるのだろうか。さらに、実際にどの程度の精度が得られるかも課題である。この方式の技術開発だけではなく、具体的な応用例を未踏期間中にぜひ仕上げてもらいたい。