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未踏ターゲット事業:2019年度採択プロジェクト概要(桝本PJ)

最終更新日:2019年7月19日

1.担当PM

徳永 裕己(日本電信電話株式会社 セキュアプラットフォーム研究所 特別研究員 博士(理学))

2.採択者氏名

桝本 尚之(株式会社ドワンゴ 博士(情報理工学))

3.採択金額

3,200,000円

4.テーマ名

量子情報技術による分散型通貨決済システムの開発

5.関連Webサイト

なし

6.申請テーマ概要

 近年、世界的なキャッシュレス化の進展に対し、日本がその普及率において大幅な遅れをとっていることが問題視されている。効率的で安全な決済システムの確立は社会全体の生産性向上の鍵であり、キャッシュレス化の推進はその第一歩となるからである。
 約10年前、決済技術における画期的なブレイクスルーがあった。非中央集権的でありながら決済の二重払いを防ぐ分散台帳の発明である。このアイデアを実装したビットコインはその極めて高い流動性から、金融市場では無視できない規模の取引量を誇るようになった。一方、プルーフ・オブ・ワークと呼ばれる、莫大な計算力を担保にして全決済を承認する仕組みは非効率的で、従来の中央集権的な決済システムに比べ利便性の面やエネルギー消費の点から劣位にあるとも考えられている。
 そこで、量子情報技術を用いてこの難点を突破しようという研究が近年にわかに活発化している。量子状態の複製を禁じる「ノークローニング定理」により物理法則に基づいて通貨の偽造を防ぐという量子マネーの研究は1970年代から行われてきている。そこに公開鍵や分散台帳の仕組みを取り入れ、より効率的で安全な分散型決済システムを作り上げようというアイデアである。
 本プロジェクトは「量子情報技術による分散型通貨決済システム」を確立するため、従来からの研究を踏まえた上で、より効率的で安全なプロトコルを提案することを目的としている。
過去において、電信や電話、インターネットなどの新通信技術の最初期のアプリケーションに決済システムがあった。将来、量子情報技術が通貨決済という現代社会の根幹にある技術領域において何らかの役目を果たすであろうことは十分に予想できる。
 その大きな技術的ニーズに対し、本領域における研究活動は揺籃期にありその未踏性は高い。新技術創生の早い段階で画期的な提案をすることは極めて重要であると考える。

7.採択理由

 量子マネー方式については学術的な理論研究がようやく活発になり始めたばかりであり、そのような中、さらなる応用プロトコルである量子ビットコインに着目した意欲的な提案であり、未踏性が高い。
 量子セキュリティプロトコルにおいては、量子鍵配送以外の具体的なプロトコルの発展がなかなか進んでこなかったが、近年の量子・古典ハイブリッドの概念も活かして、古典で可能なところはできる限り古典で行うことにも着目し、リソースの効率化など、プロトコル自体の改良、安全性検証等にしっかり取り組めば、この分野の発展への貢献が期待できる。

更新履歴

2019年7月19日 2019年度採択プロジェクト概要(桝本PJ)を掲載しました。

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