デジタル人材の育成

未踏IT人材発掘・育成事業(本体):2010年度採択プロジェクト概要(石井PJ)

1.担当プロジェクトマネージャー

石黒 浩(大阪大学大学院 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授)

2.採択者氏名

  • チーフクリエータ
    石井 健太郎(東京大学大学院 情報学環 助教)

  • コクリエータ
    なし

3.採択金額

  • 2,880,000円

4.テーマ名

  • タッチ操作と画像処理を用いた家庭用作業ロボットの操作システム

5.関連Webサイト

  • なし

6.申請テーマ概要

タッチパネルへのシンプルなタッチ操作により作業ロボットに作業の指示を与えることができるシステムを提案する。提案システムは、カメラで取得した映像を表示してユーザの入力を促すとともに、タッチ操作による入力が行われた際には、画像処理を駆使して自律的に作業を遂行する。一般家庭での利用を想定しており、ユーザとしてロボットやコンピュータの専門的な知識を持たない一般ユーザを対象とする。そのようなユーザに普及させることを見据えて、提案システムは以下の特長を備えている。

  1. 単純かつ直感的な操作で指示を出すことができ、ユーザが操作を修得するのが容易である。
  2. システムが自律的に判断することが困難な作業をわずかに人間が分担することで、システムの自律動作と人間のサポートのバランスを適切にとっている。
  3. ロボットに取り付けたパターンを用いて、ロボットの活動する床面を自動的にキャリブレーションするため、ユーザの手で機材を配置するだけですぐに利用できる。

本提案には、ロボットが物体を指示した場所まで運ぶ機能を実現したプロトタイプが存在する。本提案では、既知の問題の解決と現在までには必要としてこなかった実用のための機能を追加して、ソフトウェアを一般に提供(販売)できるレベルに完成させることが目標である。

既知の問題としては、

  1. ソフトウェアが安定して動作せず、入力を受け付けない状態に陥ることがある。
  2. フィードバックの応答性が十分ではなく、かくかくしたフィードバック提示である。

があり、これらを解決する(安定性・応答性の向上)。

また、現在までには必要としてこなかった実用のための機能として、

  1. ロボットが通行可能な領域をユーザが教えるための床面指定機能
  2. ロボットの活動不可領域/活動禁止領域をユーザが教える機能
  3. ロボットの活動領域を広げる複数カメラ対応
  4. カメラのズーム・パンチルトを操作するためのマルチタッチ対応
  5. 部屋のどこでも+遠隔操作をサポートする携帯デバイス対応
  6. 掃除・配膳といったその他のロボット機能への応用
  7. 登録済みの物体を探し出していつもの場所へ戻すといった登録済み物体サポート

を追加する。

7.採択理由

一般家庭環境において自動掃除機などの自律型ロボットが既に普及しつつある中で、今後のさらなる一般家庭環境におけるロボットの普及に際し、カメラとタッチパネルなどを活用しつつ、システムが自律的に判断することが困難な物体・場所等に関する情報をあえて人の操作により与えることにより、より利用者のニーズにあった柔軟な一般家庭でのロボットの操作を実現しようとするものである。あえて自律型ではなく、ある程度の操作を必要とする誰でも利用できるロボットを実現するアイデアは非常に興味深く、実用性も高い。