デジタル人材の育成
後藤 真孝(産業技術総合研究所 情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ長)
チーフクリエータ
三澤 加奈(東京大学大学院 学際情報学府)
コクリエータ
なし
本事業では、 顔の3Dスキャンデータをもとに立体顔スクリーンを作成し、実在感のあるテレプレゼンスを実現する。
ビジネスでは、相手先と会議をするのに、双方の予定を合わせ出張する必要があったが、時間的生産性の向上、コスト削減、移動の燃料によるCO2削減といった環境配慮の点で現在テレプレゼンスに注目が集まっている。従来のビデオ会議は画面越しで会話をするため頷きやアイコンタクトといった細かな表情のコミュニケーションがとれず実在感のない会議になりがちである。本プロジェクトでは、顔の三次元情報を元に本人の顔ディスプレイを作成し、そこにプロジェクションを行う。主に、リアルタイムで動画の顔認識を行い、顔を切り出し、自然にみえるよう顔型に合わせてプロジェクションするソフトウェアを開発する。これによって、本人の立体的な顔型を通し、細かな表情を伝えることが出来る。表情以外の大きな動作で、首を横に振ったり、傾動作は、頭部運動を動画で認識し、顔ディスプレイ自体を駆動させる。
顔の3Dスキャンデータをもとに立体顔スクリーンを作成し、そこへ顔動画をリアルタイムプロジェクションすることで、実在感のあるテレプレゼンスを実現しようという提案である。位置ずれのないようにプロジェクションしたり、頭部運動を実現したりするところまでで満足するのではなく、立体顔スクリーン側をどこまで個人ごとに変える必要があるのか、そこまでがプロジェクションでカバーできるのか、といった実用性を増す上で必須の課題に取り組んでもらいたい。顔に限らず不定形のディスプレイ全般への考察を深め、是非その新たな可能性を探求して欲しい。
三澤さんは、既に石膏で顔ディスプレイのプロトタイプを試作して予備実験する等、着々と準備は進めており、計画通りに成果を出していけることが期待できる。あとは、どこまでそこを越えて大きな成果を掴み取ることができるかが本提案を成功させる上で求められ、例えば、代表となる数個の顔のテンプレートだけでも同様の効果が得られれば実用性は大幅に増す等、検討すべき課題は多い。自身の持てる力をすべて注ぎ込んで野心的に取り組むことで、大きな飛躍を遂げてくれるのが楽しみである。